研究課題/領域番号 |
15H02758
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小野 智司 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (90363605)
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研究分担者 |
川崎 洋 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (80361393)
長原 一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (80362648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 進化計算 / 共進化 / 多目的最適化 / 同時最適化 / コンピュテーショナルフォトグラフィ / 符号化開口 / 電子透かし / 被写界深度 |
研究実績の概要 |
本研究では,特性の異なる2つ以上の部分問題を同時に最適化する共進化型最適化において,安定的局所解への収束を避け,かつ,制御パラメータの事前調整が不要な自己適応型共進化法を提案する.特に本研究では,従来はマルチメディア分野とコンピュテーショナルフォトグラフィ分野で個別に研究が行われていた電子透かしと符号化開口とを同時に設計することで,認証用2次元コードの真贋判定を安定的に行える方式を実現する. 本年度は,(a)適応型共進化アルゴリズムの開発に寄与するベンチマーク問題設計,(b)符号化開口付撮像装置の開発,(c)シミュレーションによる符号化開口最適化システムの構築に取り組んだ.従来は同時に最適化することが困難であった2つ以上の問題を対象とする自己適応型共進化法を構築するために,問題内部および問題間の変数間依存性をそれぞれ調整できる(a)のベンチマークを設計することが必要であった.また,(b)の符号化開口付の撮像装置は,認証用2次元コード真贋判定方式の実機環境での有効性を示すために必要となる.さらに,(c)の符号化開口最適化システムは,透かしの抽出に好適な開口パターンを設計するために不可欠である. 上記(a)~(c)の各項目について,当初の予定通りに研究を遂行しており,その成果をApplied Soft Computing,電子情報通信学会論文誌等の雑誌論文として掲載が決定している. また,International Conference on Computer Vision(ICCV)等の国際会議等で発表を行った. 1件の特許出願も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要における(a)については,提案する共進化型同時最適化では,共進化特有の局所解に陥る可能性が高くなる問題点を明らかにした. この問題を回避できるアルゴリズムを設計するため,今年度はまず検証用のベンチマーク問題を設計した. (b)については,反射型液晶フィルタにより符号化開口の機能を実現するカメラを用い,電動ステージ等と組み合わせて次年度以降の実機実験を行える環境を構築した. (c)については,2目的の最適化により符号化開口を設計する手法を構築した.アクティブ3次元計測用の符号化開口の設計に応用し,精度と明るさのトレードオフ関係を明確化できることを確認した. また,電子透かし抽出用の符号化開口の設計に用いるシミュレータを構築した.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は以下について取り組む予定である. (d) focusing問題の発生を回避する適応的共進化アルゴリズムの開発と,符号化開口および電子透かしの同時設計問題へ応用 (e) 実機評価による符号化開口最適化システムを構築 (f) 透かし抽出性能評価装置を開発
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