研究課題
シミュレーションを用いた学習は看護者または看護学生が自身の看護ケアスキルを向上させるために重要な方法論である.しかしながら,実際の患者を相手としない学習には限界があり,そこが課題として残されていた.そこで本研究では,患者の車椅子移乗看護ケアの看護シミュレーション訓練時に利用する,患者動作を再現するロボットを用いる.ロボットの性能と訓練効果を調べるための解析と実験を行った.患者運動解析,患者運動のモデル化を行い,学習システムの制作,中間評価実験,研究成果とりまとめを行った.特に,患者運動のモデル化の過程で,患者の動きを表現できる腰部自由度解析とロボット腰部機構,制御系検討を行い,患者ロボットを実装した.患者ロボットの訓練効果を評価する実験を行った.看護大学の学生に対して,事前評価,訓練,事後評価というプロセスを2群で遂行する実験を行った.1群は提案ロボットを用いて学習した群,もう1群は対照群として健常者を患者とする訓練を行った群とした.結果は、患者ロボットを対象とした群が優れた結果を出したことを確認した.学習者にとってまったく新規の症状の場合と,学習者が事前に訓練を受けた症状の場合を比較すると,結果が顕著に表れたのは,後者の方であった.これ以外に,看護教師の主観評価に関する評価結果より、患者ロボットは能動的な抱き上げ、受動的な起立/着座、不安定な立位など、患者の移動中の患者の行動をシミュレートできていることを示した.総合的に,患者ロボットが患者移動スキル訓練に適していることを示した.
2: おおむね順調に進展している
ロボット患者の試作と,実験遂行,結果の評価について,当初の予定通りの成果が得られており,順調に進展していると言える.
学習システムの改良方策の提案と学習システムの改良を行い,最終評価実験,実験結果の評価,研究成果とりまとめを行う.特に,学習対象とする患者特徴をきちんと抽出し,それを学習システムに生かす.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
International Journal of Automation Technology
巻: 10,5 ページ: 737-752
10.1108/K-04-2015-0102
http://otalab.race.u-tokyo.ac.jp/