本年度は予定通り、視覚処理による環境計測と地形地図自動生成システムの開発、それを用いたロボット誘導技術の開発、誘導技術と足着地位置誘導型制御器との統合を行った。 環境計測は、シミュレーション上でエレベーションマップ(2.5次元地図)をオンライン逐次生成する方法を開発した。OpenGLの深度マップを用いてレンジセンサを模擬し、地形の幾何形状モデルをレンダリングすることでセンサ計測値に相当するデータを得た。その際、実際の製品仕様に照らして計測誤差を(実際よりも低い精度条件で)乱数的に混入させたが、提案方法によってロボットの移動に問題ない程度の精度で地形を復元できることを確認した。逐次計算によるため高速かつ要求メモリが比較的小さいこと、共分散に基づいて推定された地形の局所的信頼性を同時に評価できる点が特長である。 ロボット誘導としては、当初計画にあった仮想流れ場形成とそれに基づく支持状態遷移制御器の組み合わせではなく、上記の局所的信頼性に基づいて支持状態遷移を直接決定する方法を開発した。これは、足を接地可能な領域、ロボットの現在の状態に対し転倒せずに動作維持できる足着地位置候補の集合領域、運動学的に足先が到達可能な領域の共通領域の中で、指定された目標位置に最も効率的に接近できる足配置を決定するものである。エレベーションマップの構造をうまく利用することで、上記の三つの条件を満たす足配置をサブミリ秒で見出すことが可能になった。 さらに前年度までに開発した足着地位置誘導型制御器をそのまま接続することで、即応的な二脚ロボット誘導システムを構成できた。操縦者により目標位置が急変更されても、また地形が動的に変化しても、鄒十ミリ秒オーダで応答し動作継続することが可能になった。
|