研究課題/領域番号 |
15H02767
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
野村 収作 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (80362911)
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研究分担者 |
大平 雅子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (40616190)
野澤 昭雄 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (70348465)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感性情報学 / アンビエント・フィードバック・システム / 生体医工学 / 引き込み現象 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、非線形科学における引き込み理論のアナロジーを用いて、適応的に調整された環境刺激(音・光・香・物理的外力等)により生体の内的な生理機能のリズムへの介入効果を科学的に検証することにある。 人間の体は振動子の集合体である。心臓・脳・呼吸・ホルモン分泌、それぞれが自己回復力を備えた固有振動子として振る舞い、全体として極めて安定的なシステム(恒常性)を実現している。本研究の目的は、この生体の強力な恒常性を超えて人間の生理機能を誘導するための、全く新しい適応的環境刺激の方法論を開拓することにある。 鍵となるアナロジーは「ブランコの引き込み制御」である。本研究では、研究の焦点を“睡眠”に絞り、生理機能をモニターしつつ音楽・照明・香り・睡眠姿勢を適応的に調整するフィードバック系を構築し、その有効性と限界、現象の背後にある生理メカニズムを明らかにすることである。 昨年度までに、本研究計画に必要な実験系、すなわち1)環境刺激を制御するキー入力を得るため、及び、引き込み制御の生理的な影響を検証するための各種生理評価系、および、2)各種の生体情報に基づき環境刺激を適応的かつリアルタイムに調整する為の制御システムを構築した。本年度は、環境刺激が睡眠時の生理機能に及ぼす影響に関する基礎的実験を行った。特に、香り、光、物理的外力刺激が睡眠時の生理機能に及ぼす影響について実験的研究およびフィールド研究を実施した。今年度はさらに、心拍数をフィードバック制御した音楽刺激について実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、生理機能をモニターしつつ音楽・照明・香り・睡眠姿勢を適応的に調整するフィードバック系を構築し、睡眠をターゲットとしてその生理介入効果を検証するものである。現在まで、呼吸・心電図を計測するための生体センサを作成し、環境刺激をコントロールするためのインタフェースを実装した。更に、フィードバック系による生理機能の介入効果をもたらし得る環境刺激の物理量(範囲)を決定するための予備実験を実施した。特に本年度は香り、光、姿勢制御(物理刺激)による睡眠状態への影響について科学的検証を行った。例えば、香り介入については、嗅覚疲労を引き起こさないように適応的に香り刺激を付加し終夜睡眠実験を実施した。その結果、同じ香り刺激でも、それが日中に与えられた場合と、就寝中に与えられた場合ではその生理的影響(自律神経系・内分泌系)が一致しない事、また多くの場合、正反対になることが示された。姿勢制御介入については、人間の呼吸に合わせて適応的に横臥姿勢を変更させる物理刺激装置を導入した結果、外的に深呼吸状態を誘引できることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は昨年度と同様に、引き続き環境刺激が睡眠時の生理機能に及ぼす影響に関する基礎的実験を行い、それに基づき、生体に適応的にフィードバックする環境刺激の物理量を決定する。特に本年度は、昨年度の基礎的実験で一定の成果が確認できた香り刺激、姿勢制御(物理刺激)について適応的制御を導入した終夜実験を実施する。また、昨年度、新たに実装した心拍数と呼吸をフィードバック制御した音楽刺激について、基礎的実験を行う。
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