研究課題
平成28年度は、平成27年度に開発した全ゲノムシークエンスデータからのHLA遺伝子型決定手法 ALPHARD を更にチューニングを重ねると共に、以下の研究を推進した。(1) 国際がんゲノムコンソーシアム PanCancer プロジェクト PCAWG に Immunogenomics チームとして参画し、開発した ALPHARD を用い、提供された約2800のがん細胞と正常細胞のサンプルからHLA遺伝子型(A, B, C に加え class II の5遺伝子座)、MICA、MICB の遺伝子型を決定し、PCAWG の他のプロジェクトメンバーに提供した。この研究成果は、論文としてまとめている最中である。(2)各がん組織に生じている体細胞変異のリストからアミノ酸置換を伴う変異ペプチドを生成し、決定したHLA遺伝子型に基づき、HLA分子と変異ペプチドとの結合予測を行うデータ解析パイプラインをスーパーコンピュータShirokane3上に構築した。このパイプラインを用いて、前述した PanCancer 約2800のがん抗原(neoantigen)を網羅的に同定し、がん種毎にその特徴をまとめた。(3)T細胞レパトアを PanCancer の約1400、TCGAで公開されている約10000サンプルのRNAシークエンスデータから解析を行った。特にV遺伝子に注目し、がん腫毎にその多様性(diversity)の違い、T細胞受容体の発現量の違いをまとめ、(2)のがん抗原との関係、HLA遺伝子の発現との関係など他のがん免疫に関わる分子との関連について詳細な関連解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
全年度に立案した予定通り、開発した ALPHARD を PanCancer や TCGA の大規模データに適用し網羅的ながん免疫プロファイルを得ることができた。
HLA遺伝子型、がん抗原、T細胞レパトアなどからなるがん免疫プロファイルのがん種毎の詳細な解析を行う。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
OncoImmunology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1080/2162402X.2017.1306617
Inflamm Bowel Dis.
巻: 22 ページ: 1275-1285
10.1097/MIB.0000000000000752