研究実績の概要 |
本申請課題「in silico とin vitro の融合によるトリパノソーマ原虫治療薬探索」では,未だ治療満足度が低く,医薬品の貢献が求められるアンメットメディカルニーズの高い疾患である,顧みられない熱帯病への貢献を目指す.本研究は,平成27年度から4年間で行う.平成29 年度は研究計画の3年目になり,スーパーコンピュータ「TSUBAME」で,創薬研究向けデータベース「iNTRODB」で発見したスペルミジン合成酵素の機能を阻害する化合物候補約480万化合物から176化合物を選択,アッセイ試験を行い阻害活性を持つヒット化合物を4個(2-(2-Fluorophenyl)ethanamine, 2-[(4,6-dihydroxy-1,3,5-triazin-2-yl)amino]-4H-1,3-benzothiazin-4-one, 2-(5-Ethoxy-1-ethyl-1H-indol-3-yl)ethanamine, 4-(2-Aminoethyl)-1,2-benzenediol)発見した.Fragment Molecular Orbital(FMO)法を用いてPharmacophore Modellingと標的蛋白質とリガンド間の量子化学的相互作用の解析を行った.これまで,トリパノソーマ原虫が原因となるリーシュマニア症,シャーガス病,アフリカ睡眠病に対して一剤で効果的な薬の創出を進めており,シャーガス病の原因となるTrypanosoma cruziのセルアッセイの系に加えて,引き続きアフリカ睡眠病の原因となるT.b.gambienseのセルアッセイの系を用いての抗原虫活性と細胞毒性の検証を進めていく.
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