研究実績の概要 |
本申請課題「in silico とin vitro の融合によるトリパノソーマ原虫治療薬探索」では,未だ治療満足度が低く,医薬品の貢献が求められるアンメットメディカルニーズの高い疾患である,顧みられない熱帯病への貢献を目指したものである.本研究は,平成27年度から4年間で行った.平成30年度は研究計画の4年目になり,引き続きスーパーコンピュータ「TSUBAME」で,創薬研究向けデータベース「iNTRODB」で発見したスペルミジン合成酵素の機能を阻害する化合物候補約480万化合物から176化合物を選択,昨年度に報告したアッセイ試験により阻害活性を持つヒット化合物を4個(2-(2-Fluorophenyl)ethanamine, 2-[(4,6-dihydroxy-1,3,5-triazin-2-yl)amino]-4H-1,3-benzothiazin-4-one, 2-(5-Ethoxy-1-ethyl-1H-indol-3-yl)ethanamine, 4-(2-Aminoethyl)-1,2-benzenediol)について,化合物をどのようにリードまで発展させていくかを検討した.これまでに,ある化合物を入力とした時に,ほしい物性(例えば脂溶性)をルールベースで化合物を発展させていくシステムの構築を行った.シャーガス病の原因となるTrypanosoma cruziのセルアッセイの系に加えて,引き続きアフリカ睡眠病の原因となるT.b.gambienseのセルアッセイの系の構築及び、セルアッセイの系を用いての抗原虫活性と細胞毒性の検証が可能となっており,化合物の物性を改善するシステムとアッセイ系を組み合わせることで,ヒット化合物をどのようにリード化合物まで繋げていくことが重要である.
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