本年度(H30)は最終年度であり、過去3年間に開発したプロトタイプの検証・改良・拡張・実験およびそれらの理論の体系化を行った。デジタルデータ中心アーカイブの現状の問題点、アナログコンテンツ中心アーカイブの現状の問題点などを明らかにして、過去のレガシーのデータ・コンテンツ・システムを切り捨てるのではなく、それらを活かし 、新しい技術や文化も取り入れ、低コストで現実性が高く、永続性がある協調型アナログ・デジタル空間・地図アーカイブ・システムのプロトタイプおよび理論の構築を行った。また、以下の3つのプラットフォーム・モジュールの理論構築を行った。 (A)「データ寄付」モジュール:利用者自身のログデータをオプトアウト方式ではなく、オプトイン方式でデータ寄付する枠組みの体系化、およびそのプロトタイプを実現し、実証実験を行った。小さな組織でも、利用者のプライベート・ログデータ保護を実現したまま、大企業や中央政府などに依存することなく、地域ごとに独自の利用者ログのビッグデータを容易に構築できる健全で堅実的な基盤としての意義を明らかにした。 (B)「時空間構造化」モジュール:独自開発した空間メディアのためのマップコラージング技術を応用して、年表などの人が創作した時間メディア表現コンテンツを対象に時間コラージングの枠組みとプロトタイプを開発し、アナログ時空間表現を対象とした共通デジタルプラットフォーム・エコシステムの基礎を体系化した。 (C)「永続化」モジュール:デジタルデータとしての(1)情報的永続化、アナログ表現としての(2)物質的永続化、人から人へと技術・知識・文化を効率的で現実的に移転できる(3)人間社会的永続化の利用者環境を体系化し、そのプロトタイプの実現をとおして、今回提案した枠組みの有用性と現実性を明らかにした。
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