研究課題/領域番号 |
15H02795
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中野 裕司 熊本大学, 総合情報統括センター, 教授 (40198164)
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研究分担者 |
永井 孝幸 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (00341074)
宇佐川 毅 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30160229)
梶田 将司 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (30273296)
鈴木 克明 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (90206467)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ラーニングアナリティクス / Web API / eラーニング / 学習支援システム / 標準化 / LRS / IMS Caliper / Experience API |
研究実績の概要 |
学習活動データの収集・集積に関して,標準化の動向を睨みつつ,利用する標準化をExperience API (xAPI)からIMS Caliper (Caliper)へ拡大し,Caliperを中心とした.LRSに関しては,前年度からの動向調査に基づき,OpenLRSからOpenLRWに移行した.LMSの学習履歴に関して,MoodleのCaliper対応プラグインのCaliper log storeを用いてOpenLRWへのデータ蓄積を試行したが,扱えるユーザIDやコースIDがMoodle内部のものであり学生番号や科目番号にならないという問題が生じた.そこで,ETL (Extract Transform Load)ツールをCaliper log storeとOpenLRWの間に挿入し,Caliperにextensionとして学生番号等にデータを挿入することに成功した.この過程で,他のシステムに関してもETLツールによるOpenLRWへの接続とデータ蓄積の可能性が見えてきた.IMS OneRosterによる学務情報の標準化を検討した結果,規格の適合性や更新等もあり導入に躊躇しており,この点に関しては引き続き検討する. 解析に関しては,Rとの連携をrstudio serverを用いて行っており,データベースに直接接続し,各種可視化,解析が可能になった. ダッシュボードに関しては,学習者支援,特に自己調整学習の支援を中心にシステムを構築しており,年間,曜日,日時単位の統計情報やキーワードの頻出度等の可視化,学習プロジェクト毎の進捗管理を可能にした. 機関を超えた学習活動データの収集に関しては,一部機関では整備が進みつつあり,実際に研究用にデータ提供が行われたケースもあるが,まだ全学レベルのものは極めて少なく,一般的には難しい状況であることがわかった.今後とも動向を注視していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OpenLRSからOpenLRWへの移行,自己調整学習の支援を主な目的とした学習者用ダッシュボードの開発,ETLツールによるLMSからOpenLRWへ渡すデータの変換等,順調ないし予想以上に進展している部分もあり,特にETLツールに関しては,様々なシステムのIMS Caliperへの対応の可能性があり,今後の広がりが期待できる.ただし,標準化やニーズ調査及び教授設計の視点からの設計に関して,学務情報の標準化であるIMS OneRosterに関しては規格の大幅更新や適合性の問題からあまり進んでいない.また,研究成果は学会等の講演は多く行っているが,論文としてまとまっていない. 以上のように,順調ないし予想外に少し先へ進んだ部分もあるが,少し遅れている部分もあり,総合的にみて,「おおむね順調に進展している。」とした.
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今後の研究の推進方策 |
学習活動データの収集・集積に関して,ETL (Extract Transform Load)ツールの活用とOpenLRWへのIMS Caliper形式によるデータ蓄積を軸に,多くのシステムへの対応の可能性について,汎用化,可視化も含め検討する.学習活動以外の間接的なデータ収集に関しても対応を進める.データベースに関しては,MongoDBへのデータ蓄積のさらなる高速,効率化を目指す.また,WebブラウザからLRSへの学習データ収集を可能にするためのプラグインの改良にも取り組む.主に自己調整学習をターゲットにおいた,学習者用ダッシュボードの教育工学的見地からの開発,発展を継続する.データ分析部分に関しては、Rとの連携をさらに進めていく.
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