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2015 年度 実績報告書

海洋の炭酸系物質の準リアルタイムな時空間高解像度マッピングの展開に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15H02799
研究機関北海道大学

研究代表者

渡辺 豊  北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (90333640)

研究分担者 中野 善之  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, 研究員 (20566103)
野村 大樹  北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 助教 (70550739)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード化学海洋学 / 海洋酸性化
研究実績の概要

H27年度は、以下の項目を実施した。
●研究項目(1):簡便で高精度・高確度な海洋炭酸系物質測定法の実現: 迅速処理可能でAlk・DICの高精度高確度で同時測定が期待できるクローズドセル法の装置を導入し、さらに、この装置の酸滴定ビュレットの改良と海水サンプル分取法の改良により、迅速で高精度高確度な炭酸系物質測定を行い、測定時間20分以内、pH精度で0.15%の測定法の実現した。
●研究項目(2):炭酸系物質(pH, Alk, DIC)のパラメタリゼーションの基本原理の評価: 本石狩湾・小樽沖1km沖に観測定点において、10月から2週間毎・計4回にわたり、鉛直採水を行い、T・S・DOと炭酸系物質を測定し、T・S・DOによる海水中の炭酸系物質のパラメタリゼーションを行うことで、確度と精度ともに0.1%であることを明らかとした。
●研究項目(3):北太平洋高緯度海域における炭酸系物質のパラメタリゼーション: 15万採水層に及ぶ高精度・高頻度なT・S・DO・炭酸系物質データ群を用い、炭酸系物質のパラメタリゼーションを行い、確度と精度ともに0.1%で定式化を可能とした。さらに、独立のデータ群にこれらのパラメタリゼーションを適用し、実データと比較し、ばらつきとして0.1%であることを明らかとした。また、おしょろ丸と白鳳丸航海において炭酸系サンプル約2000サンプルを採取し、上記で開発した「簡便で高精度・高確度な海洋炭酸系物質測定法」により測定を実施した。
●研究項目(4):北太平洋高緯度海域における準リアルタイムな炭酸系物質のマッピング:北太平洋で展開されている海洋自動観測ロボットデータ群(約3万鉛直分布)に対して、品質管理も含め必要なパラメータについてデータフォーマットを整備した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H27年度に実施予定をしていた研究項目については概ね進んでおり、順調に結果が出ているため。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画どおり、H28年度以降は以下の項目を実施し、本研究の目的を達成する予定である。
●研究項目(3):北太平洋高緯度海域における炭酸系物質のパラメタリゼーション
(3-ii):高精度・高確度な海洋炭酸系物質測定データ群による炭酸系パラメタリゼ-ションの展開:H27年度に引き続き、H28年度とH29年度も、研究観測船により炭酸系サンプル約3000サンプル/年を取得し、北太平洋高緯度海域のパラメタリゼーションの高精度高確度化の改善を図る。
●研究項目(4):北太平洋高緯度海域における準リアルタイムな炭酸系物質のマッピング:研究項目(3)で得られた炭酸系物質のパラメタリゼーションを、北太平洋高緯度海域に現在展開している海洋自動観測ロボット(中層プロファイリングフロート、水中グライダー)のデータに適用する。同時に、その周辺で同時期に得られる離散的な炭酸系物質と比較し、海洋自動観測ロボットによって得られる炭酸系物質の精度評価を実施する。これらによって、海洋自動観測ロボットデータ群を用いた北太平洋高緯度海域の時空間的に詳細な準リアルタイムの炭酸系物質の動態を把握する観測システムの構築を目指す。
●研究項目(5):北太平洋高緯度海域におけるpHの時間変動の把握:同海域に展開する海洋自動観測ロポットデータに適用して得られたpHデータ群、ならびに定点観測点の時系列高精度のデータ群より得られたpHを統合し、同海域全域にわたり緯度経度10度格子・水深1000mまで100m毎のpHの時系列変動解析を行う。これにより、同海域における詳細なpHの時系列変動を明らかにすることを目指す。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Spatiotemporal distribution of pH in the North Pacific subpolar region using the parameterization technique2016

    • 著者名/発表者名
      Li B., Watanabe Y. W., A. Yamaguchi
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      -

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] A global-scale map of isoprene and volatile organic iodine in surface seawater of the Arctic, Northwest Pacific, Indian, and Southern oceans2015

    • 著者名/発表者名
      Ooki A., Noumra D., Kikuchi T., Yokouchi Y.
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research

      巻: 120 ページ: 4108-4128

    • DOI

      10.1002/2014JC010519

    • 査読あり
  • [学会発表] Spatiotemporal distribution of carbonate species in the North Pacific subpolar region using the parameterization technique2015

    • 著者名/発表者名
      Li B., Watanabe Y. W.
    • 学会等名
      2015 annual meeting of the North Pacific Marine Science Organization
    • 発表場所
      青島 中華人民共和国
    • 年月日
      2015-10-22
    • 国際学会
  • [図書] 低温と環境の科学事典:極域海洋の栄養塩動態2016

    • 著者名/発表者名
      渡辺 豊
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      朝倉書店

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公開日: 2017-01-06  

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