研究課題/領域番号 |
15H02803
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長田 和雄 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80252295)
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研究分担者 |
定永 靖宗 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70391109)
黒崎 泰典 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (40420202)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 環境計測 / アンモニア / 硝酸 / PM2.5 / 越境汚染 |
研究実績の概要 |
大気中のアンモニア態窒素と硝酸態窒素について、越境汚染時の濃度やガス・粒子の分配状態を把握するために、H27年度から鳥取大学・乾燥地研究センターで分担者(黒崎)の協力を得ながら種々の大気観測を行っている。 SO2計とアンモニア計による連続観測をH28年度も継続した。年度当初はアンモニア計がたびたびトラブルに見舞われていた。しかし9月下旬に捕集液に添加する防腐剤を変更してからは、連続して良質のデータを得ている。そのほか、PM2.5、PM10、OBCの各濃度やSO2濃度についても、ほぼ連続してデータを取得できた。4~5月の黄砂イベントに伴う大陸からの大気汚染物質の流れだしや、夏の海陸風に伴う濃度の日内変化等、興味深い現象が観測できた。また、ガス状・粒子状硝酸を湿式で連続濃縮採取し、大気濃度を測定する装置の稼働試験を行った。硝酸計についてはその結果を踏まえてさらなるハード的な改良を行い、制御ソフトについても改良した。(長田) H27年度末から連続観測を開始した O3、CO濃度に加え、H28年度の初頭から、NOy、HNO3濃度の連続観測を開始した。連続観測自体は大きなトラブルもなく、順調に行えている。O3濃度については、春季に極大、夏季に極小となり、COについては、冬季に極大、夏季に極小となる、典型的な季節変動が見られた。NOyについては、夏季に低濃度、冬季に高濃度となった。HNO3に関しては春季~夏季にかけて高濃度、秋季~冬季にかけて低濃度であった。また、日中に高くなり、夜間に低くなるHNO3濃度の日内変動は、季節を問わず観測された。HNO3がこのような濃度変動を示す要因としては、紫外線増加に伴い、HNO3の光化学生成反応が促進したことや、温度上昇に伴い、硝酸のガス・粒子分配がガス側に偏ったことが考えられる。(定永)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度から継続してH28年度も鳥取大学乾燥地研究センターにおいて大気観測を実施した。トラブルはあったが、データの取得はほぼ順調に進んでいる。H28年度中に完成予定だったガス態・粒子態硝酸濃度計については、サンプル濃縮部と測定部の連結方法を改良したが、制御プログラムの微修正を残す点について、当初の予定よりもやや遅れた感がある。(長田)
前年度に開始した O3とCOに加えて、H28年度初頭よりNOyとHNO3の連続観測を開始した。観測データを蓄積し、鳥取におけるこれらの濃度レベルの季節変化および日内変動パターンについて把握できたので、順調に進捗している。(定永)
気象データの提供と観測支援を予定通り行った。(黒崎)
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は、アンモニア等については秋まで鳥取における現地観測を継続し、1年以上の観測データ取得を目指す。昨年度の観測データを解析し、濃度やガス/粒子分配の季節変化についてその要因を考察し、学会発表を行う。また、制御プログラムの最終的な微調整を残すガス態・粒子態硝酸濃度計については、試験運転を続けつつ微調整を行い、デニューダーフィルターパックとの比較観測を実施する。(長田)
H28年度までのNOy、HNO3、O3、COの連続観測から、鳥取におけるこれらの濃度レベル、日内変動、季節変動を把握できつつある。H29年度では、これらの観測を継続するとともに、H28年度までに蓄積されたデータ、同時に行っている五島列島福江島や能登半島珠洲での観測データも、必要に応じて合わせて、これらの濃度変動要因について、特に越境汚染イベント時や暖候期を中心に考察を進める。(定永)
気象データの提供と観測支援を行う。(黒崎)
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