研究課題/領域番号 |
15H02830
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大迫 誠一郎 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00274837)
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研究分担者 |
齋藤 俊行 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (90205667)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 次世代環境影響評価 / 血液DNA / メチル化バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、独自開発したMSD-AFLP法を用いたメチローム解析が、臨床サンプルで行いえるか否か、適応に向けた初の取り組みとなる。そのため、まず予備実験として、MSD-AFLP法がヒトのDNAサンプルにおけるメチル化網羅的解析に耐えうるかを検討した。 適切な研究倫理審査による承認を得た上で、協力研究機関である福島県立医科大学・名古屋市立大学から、尿道下裂患者の包皮と同一患者から採血した血液を連結不可能匿名化で提供していただいた。これらサンプルからはAllPrep DNA/RNA Mini Kit(QIAGEN, Hilden, Germany)を使用してDNAを回収した。そのDNAのメチル化比較をMSD-AFLP法で行った。包皮は、RNAlaterに浸漬採取したものを、血液は、ヘパリン採血100uLをDNA回収用に供した。MSD-AFLP解析においては、選択塩基プライマー全256種のうち、任意の数種を用いた反応を行い、ハイスループットシーケンサーによりすべてのメチル化ピークチャートを取得した。また、MSD-AFLP法により得られるメチル化CpGのゲノム塩基配列上の位置を予測あるいは確認するため、独自開発したgenome DNA fragment database(GFDB)システムを用い、包皮と血液でメチル化レベルに差が認められたメチル化CpGのゲノム塩基配列上の位置を検索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択プラマーセット17種で検出できた総メチル化CpG(ピーク数)は5718あった。このうち、血液の方が2倍以上の高いメチル化レベルを示すCpGが180、包皮の方が2倍以上の高いメチル化レベルを示すCpGが233検出出来た。またヒト型GFDBシステムを用いた検索により、包皮と血液でメチル化レベルに差が認められたCpGの中には、特定の遺伝子内部配列に位置するものも検出された。これらの結果から、臨床サンプルにおけるメチル化網羅的解析にもMSD-AFLP法が適応可能であり、疾患特異的メチル化マーカを検出できる可能性が高いことが判った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、独自開発したMSD-AFLP法を用いたメチローム解析が、臨床サンプルで行いえるか否か、適応に向けた初の取り組みとなった。MSD-AFLPとGFDBシステムはヒトDNAサンプルでも有効であることが実証されたため、今後、サンプル数を増やして、疾患特異的な血液エピゲノムバイオマーカー探索や化学物質曝露レベルとの相関解析を行っていく。
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