• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

界面動電現象を利用した地下水環境の新たなモニタリング手法の確立と減災技術への展開

研究課題

研究課題/領域番号 15H02831
研究機関京都大学

研究代表者

寺嶋 智巳  京都大学, 防災研究所, 准教授 (50353777)

研究分担者 松浦 純生  京都大学, 防災研究所, 教授 (10353856)
服部 克巳  千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (60244513)
古谷 元  富山県立大学, 工学部, 准教授 (80378926)
後藤 忠徳  京都大学, 工学研究科, 准教授 (90303685)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード斜面崩壊予測 / 界面動電現象 / 自然電位 / 浅層地下水
研究実績の概要

徳島県西井川地すべり地において、観測を行った。斜面の変位に関しては昨年同様に主に深度6.5mが変位していた。この変位は連続総降水量(24時間以上の間隔を開けない)と線形関係が見られたため、地盤の変位は一義的には降雨量に規制されていることが明らかとなった。ただし、長期間乾燥(無降水期間が1週間以上続いた)後に高強度(10mm/h以上)の降雨があった場合、降水量に対する地盤の変位量は小さくなる傾向にあった。また、冬期間の強度の低い降水(10mm/h以下)で地盤が変位する場合には、降水量に対する変位量が相対的に大きくなり、上記の降雨量・変位量の線形関係からずれて来ることも判明した。このことは、地盤変位が生じる前の先行土壌水分量が、その変位に関与した降雨量・地盤変位のしきい値に大きく影響していること、あるいは冬季・夏季の水温の違いによる水の粘性が地盤変位に関わっている可能性があると考えられるデータが得られたことを意味していると思われる。
また、自然電位変動は地下水変動に良く対応し、浸潤前線の通過や飽和帯の形成・成長過程をよく表すことを観測できたが、期間中に斜面全体が移動するような相対的に大きな地盤変位が生じなかったことから、自然電位の直前変動までを観測することができなかった。このため、実斜面を模した不均質土層からなるモデル斜面を対象にした室内降雨崩壊実験を行うことにより、直前変動等の自然電位動態に関する基礎知見を補完していくことが必要であることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

野外観測地での地盤変位および電位変動のデータが順調に得られており、両者の因果関係の解析に資するデータが取得できているため。また、予算の次年度繰越により、野外観測では把握できていない自然電位の斜面崩壊直前変動を補完するための室内降雨崩壊実験を新たに行うことが可能となり、基礎的な知見を集積できる見通しが立ったため。

今後の研究の推進方策

本研究では、自然電位変動が地下水変動(浸潤前線の通過や飽和帯の形成・成長)をよく表すことを確認するため、地すべり地における野外観測を行ってきた。しかし、飽和帯の形成・成長は見られたものの、観測期間中に崩壊が発生するまでの大きな地盤変動が生じなかったため、崩壊の前兆と思われる電位の直前変動を観測するまでには至っていない。このことから、実斜面観測を継続すると共に、実斜面を模したより不均質な土層モデルによる室内降雨崩壊実験を行うことで、実斜面観測では再現不明の現象を補完できる事例を増やすことが必要であると思われた。すなわち、実斜面により近い不均質土層での自然電位変動の基礎知見を得るため、次年度は上下2層(上部緩詰め、下部密詰め)のモデル斜面を作成して室内降雨崩壊実験を実施し、間隙水圧変化、地盤変動、自然電位動態について計測することとした。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Groundwater flow behavior at landslide area in crystalline schist mountains2017

    • 著者名/発表者名
      . Furuya, A. Suemine, J. Honda, G. Wang, M. Inoue
    • 雑誌名

      Proceedings of the fourth World Landslide Forum

      巻: 1 ページ: 7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 降雨による斜面崩壊過程の監視の試み:電磁気学的手法を用いた実斜面におけるすべり面の推定と実斜面観測システムの構築2016

    • 著者名/発表者名
      山﨑智寛・服部克巳・金田平太郎・酒井英男・泉吉紀・寺嶋智巳
    • 雑誌名

      電気気学会論文誌基礎・材料・共通部門誌

      巻: 136 ページ: 297-303

    • DOI

      0.1541/ieeejfms.136.297

    • 査読あり
  • [学会発表] 自然電位観測による斜面下地下水動態の監視法の開発:地下水流動に伴う自然電位変動と自然電位トモグラフィー2016

    • 著者名/発表者名
      山崎智寛,服部克巳,寺嶋智巳
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合
  • [学会発表] Self-Potential Monitoring for Ground Water Condition: Electro-kinetic Effect and Self-Potential Tomography2016

    • 著者名/発表者名
      Katsumi Hattori, T. Yamazaki, T. Terajima, and Q. Huang
    • 学会等名
      International 2016 EMSEV Workshop, 2016/8/25-8/29, Lanzhou, China
    • 招待講演
  • [学会発表] Application of Geophysics to Natural Hazard2016

    • 著者名/発表者名
      Katsumi Hattori
    • 学会等名
      Special Lecture at Pertamina University, Jakarta, Indonesia
    • 招待講演
  • [学会発表] 界面動電現象のモニタリングは崩壊発生タイミングの予測にどこまで使えるか2016

    • 著者名/発表者名
      寺嶋智巳、服部克巳、山﨑智寛、後藤忠徳
    • 学会等名
      京都大学防災研究所年次発表会
  • [学会発表] 徳島県三好市地すべり斜面における比抵抗トモグラフィー2016

    • 著者名/発表者名
      後藤忠徳、寺嶋智巳、山崎智寛、服部克巳
    • 学会等名
      京都大学防災研究所年次発表会
  • [学会発表] 徳島県西井川地すべり斜面における自然電位モニタリング2016

    • 著者名/発表者名
      山崎智寛、服部克巳、寺嶋智巳
    • 学会等名
      京都大学防災研究所年次発表会
  • [学会発表] 1m深地温計測による西井川地すべりの流動地下水脈の連続観測2016

    • 著者名/発表者名
      古谷 元、王 功輝、末峯 章、寺嶋智巳
    • 学会等名
      京都大学防災研究所年次発表会
  • [学会発表] Electromagnetic Changes Due to Electro -kinetic Effects: Sandbox Experiments2016

    • 著者名/発表者名
      Hattori,K., Yamazaki,T., Terajima,T.
    • 学会等名
      日本地震予知学会
  • [学会発表] 徳島県三好市地すべり斜面における 比抵抗トモグラフィー2016

    • 著者名/発表者名
      後藤忠徳・寺嶋智巳・山崎智寛・服部克巳
    • 学会等名
      物理探査学会第134回学術講演会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi