フッ素ポリマーは耐熱性や耐薬品性等の優れた性質を持つため産業界で広く利用されている。近年は溶融成形を可能にした新しいフッ素ポリマーが開発され、普及しつつある。そのようなポリマーを「熱可塑性フッ素ポリマー」と呼び、代表的なものにポリフッ化ビニリデン(PVDF)や関連した共重合体がある。本研究では導入が進む一方で、廃棄物の分解処理方法が確立されていないこれらのポリマーを、熱水反応によりフッ化物イオンまで完全に分解することを目指した。その結果、過酸化水素水を添加した比較的低温(~300 ℃)の亜臨界水反応によりF-とCO2まで完全に分解し、人工蛍石へ再資源化することに成功した。
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