研究課題/領域番号 |
15H02844
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
三苫 好治 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (20301674)
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研究分担者 |
奥田 哲士 広島大学, 環境安全センター, 助教 (60343290)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 環境材料 / 環境技術 / 廃棄物処理 / 有害化学物質 / 放射線 |
研究実績の概要 |
1. 土壌のサンプリング:フィールドから,真砂土,水田土壌,野菜畑土壌,果物畑土壌,広葉樹林土壌等を採土し風乾細土を調製した。 2. 土壌の基礎物性評価:Csの分離に影響を及ぼす可能性のある土壌物性について検討を行った。検討項目は,pH(H2O),電気伝導度(EC,1:5水浸出法),酸化還元電位(ORP),全炭素及び全窒素測定,リン酸保持容量の測定,アンモニウム態窒素測定,硝酸態窒素測定,可給態ケイ酸量及び可溶性鉄・アルミニウムの測定,微量元素の測定,粒度分布測定,陽イオン交換容量及び陰イオン交換容量の測定及びその化学種の定量,表面観察を行った。 3. Ca/各種担体/Fe系分散体の調製法の確立と物性評価:(1)各種分散体の調製を行った。(2)各種調製分散体の物性評価を行った。 4. モデル汚染土壌の調製(1)塩化Cs水溶液,あるいは,重金属類の所定量を土壌に添加後,異なる含水率に調整し,ローラーミルで全量を十分混合しモデル汚染土壌とした。(2)調製したモデル汚染土壌の含水率(MB35),及び環告46号に準拠してCs溶出量や重金属溶出量(SPS7800)を求めた(=初期値の決定)。 5. モデル汚染土壌の磁選処理(1)上記4で調製した一定量のモデル汚染土壌に上記3.(1)で調製した粉体を所定量混合し撹拌時間,添加量,撹拌速度,及び撹拌様式等について高い磁着分離効果が維持されるよう最適化を行った。重量分析により磁着量を評価し,選別後の粒度分布は既設の粒度分布測定機で行った。(2)処理物の表面観察を行い,処理前後の変化を確認した。(3)初期土壌粒子の粒度分布及び組成の与える影響を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
はじめに,土壌のサンプリングについて,予定数の土壌種をサンプリングし,それぞれを風乾細土とした。次に,セシウムの土壌からの分離に影響を及ぼすと考えられる物性値を求めた。主に,3つの区分に分類される土壌種(砂状土壌,有機土壌,粘土)に対して,水分の吸着やセシウムの吸着に影響を与える土壌表層組成や構造を分析した。その結果,シルト成分は約20wt%~36wt%程度,有機物含有量は18%~33%程度,含水率は4wt%~45wt%程度の幅であることが分かった。これらの土壌に対して,安定同位体の133Csを,およそ2.4ppmとなるようドープし,これをサンプル土壌とした。続いて,別途Ca/各種担体/Fe系分散体の調製法の確立と物性評価を求めた。次に,サンプル土壌に得られた分散体と,遊離を促進する添加剤(13%のAl系素材及び4.08%のC系素材を含む分離剤,特許性あるため非公開)を加えた。その結果,約500℃で89%,800℃で94%まで分離することに成功した(研究開始当初のチャンピオンデータ:1200℃が必要)。
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今後の研究の推進方策 |
適応範囲を確定すべく,引き続きサンプル数を増す。そのため,土壌のサンプリングを継続し,土壌の基礎物性を求め,Cs含有標準土壌を調製する。続いて,処理条件や添加物をスクリーニングし,熱分離実験の最適化を図る。
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