研究課題
申請者らは、経済的で低炭素型の水質浄化が期待できる水生植物-根圏微生物共生システムが難分解性の化学物質分解促進作用を有しており、水生植物根圏に化学物質分解能に長けた微生物が選択的に集積、活性化されていることを明らかにしてきた。また、そのメカニズムの一端について、根圏から分離された微生物が水生植物と共生すると、表面付着のための線毛合成等に関わる遺伝子を顕著に発現させていることを明らかにしてきた。一方、水生植物はその種類や生育条件等に応じて、能動的にその根圏に集積させる微生物を選択していることも分かっており、目的に応じて人為的に根圏微生物群を制御した水生植物-根圏微生物共生システムの構築が期待できる。本研究では、その構築に向けた基盤技術の創出に向け、水生植物がどのようなメカニズムで特定の微生物を根圏に集積させようとしているのか、水生植物側の遺伝子発現解析を通して明らかにすることを目的としている。本年度は各種微生物と共生している際に、水生植物がどのような遺伝子を発現しているのかについて、水生植物の微生物へのはたらきかけを明らかにしようとした。水生植物Spirodela polyrrhiza(ウキクサ)の全ゲノムを搭載したDNAマイクロアレイを作成し、水生植物根圏から分離された根圏微生物Acinetobacter sp. P23株との共生時における発現遺伝子の解析を行った。実験では、無菌のウキクサのみの系をコントロールとして、無菌のウキクサとP23株を共生させた系で経時的に系内のウキクサおよびP23株からmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析を行った。実験の生データは揃っているが、現在統計解析を進めており、ウキクサと根圏微生物の共生系で強発現される遺伝子群を明らかにすることができるものと考えている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genome Announcements
巻: 5 ページ: e01323-17
10.1128/genomeA.01323-17