バイオフェントン反応およびバイオフェントン様反応を用いて有機塩素化合物などの有害物質を効率良く分解無害化する高性能ファイトリメディエ―ション技術に関する基礎資料を得るために、植物が産生する過酸化水素からOHラジカルを効率良く生産するための鉄化合物、反応サイトおよび反応過程について実験的検討を行った。その結果、以下のような知見が得られた。 1)活性酸素検出用蛍光試薬(APF: Aminophenyl Fluorescein)と異なる鉄化合物をイネ科植物培養槽に添加し、植物が発生する蛍光(515nm)を蛍光顕微鏡および共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察した。その結果、3価鉄担持ゼオライト粒子および3価鉄コロイド粒子添加系では主として植物表面で蛍光が観察された。一方、Fe2+イオン添加系では植物体内から蛍光が発生した。 2)レーザー走査型顕微鏡により植物体内における蛍光物質の分布を高精度で観察することができ、反応サイトに関する3次元情報を得ることができた。 3)ペンタクロロフェノール(PCP)をモデル汚染物質とした回分実験より、鉄化合物添加系のみでテトラクロロヒドロキノン(TCHQ)が植物体外で分析・測定された。当該物質は既往研究によりフェントン反応の中間物質として報告されている。 現在、ベチバーの培養を継続中である。今後はイネ科植物に加えて本植物を用い、人工的に調整した汚染土壌の浄化能力について検討を加える予定である。
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