金属素材の持続可能な循環利用システムの構築

2017 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15H02860
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 醍醐 市朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (20396774)
• 研究分担者: 林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部地域技術支援部城南支所, 主任研究員 (10385536) ; 畑山 博樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30612733) ; 葛原 俊介 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60604494) ; 山末 英嗣 立命館大学, 理工学部, 准教授 (90324673) ; 中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 合金成分 / 不純物 / 物質循環 / 金属リサイクル / 鉄スクラップ

研究実績の概要

昨年度までの分析結果を用いて、炭素鋼に随伴するCu、Sn、Cr、Ni、Moの年間フロー量は、資源の消費量に対してそれぞれ4％、17％、9％、16％、19％であることがわかった。Snは、表面処理分を除くと9％となる。Niは表面処理分を除くと15％となり、Moとともに意図せず混在する量が大きいことがわかった。Cuは、その由来をスクラップ中の炭素鋼合金元素分（f3）、リサイクル時に意図せず混入する炭素鋼以外の素材を構成する元素分（f4）の2つに区分して、時系列での変化を推計する手法を開発した。その結果として、f3の量は老廃スクラップを構成する形鋼と棒鋼の割合が増えたことで微増しているものの、f4の量は1990年頃に1度大きく減少し、90年代は横ばいののち、2000年から2010年にかけて約半分くらいに減少してきたことがわかった。2000年以降の減少は、中国への雑品スクラップの輸出が大きな要因であると考えられ、廃掃法とバーゼル法の改正によって一時的にCu濃度が大きくなることが危惧された。
さらに、それら元素の混入源となる廃製品をWIO (waste input output)-MFA (material flow analysis)を用いることで特定することを試みたが、データの制約から不確実性の高い推計となった。Cuは建築物、それ以外の元素は自動車に由来するものが多いと推計されたが、今後の更なる調査ならびに検証が必要であることがわかった。混入源となる廃製品を特定するための1つのアプローチとして、分析する元素の種類を増やすことが挙げられる。そこで、ETV /LA-ICP-MS法と呼ばれる手法を考案し、固体標準物質を用いることなく鉄鋼中の微量元素の定量分析を可能とした。さらに、鉄鋼中に存在する数ppmレベルのAgの分布状態の測定に応用し、Agの定量イメージング像を得ることができた。

現在までの達成度 (段落)

29年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

29年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] Leiden University(Netherlands)
  • 国名: オランダ
  • 外国機関名: Leiden University
• [国際共同研究] Hanoi Univ. of Science and Technology(ベトナム)
  • 国名: ベトナム
  • 外国機関名: Hanoi Univ. of Science and Technology
• [国際共同研究] 山東省科学院 科技発展戦略研究所(China)
  • 国名: 中国
  • 外国機関名: 山東省科学院 科技発展戦略研究所
• [雑誌論文] Global distribution of material consumption: Nickel, copper, and iron (2018)
  • 著者名/発表者名: Nakajima Kenichi、Daigo Ichiro、Nansai Keisuke、Matsubae Kazuyo、Takayanagi Wataru、Tomita Makoto、Matsuno Yasunari
  • 雑誌名: Resources, Conservation & Recycling 巻: 133 ページ: 369～374
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.resconrec.2017.08.029
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Element-based optimization of waste ceramic materials and glasses recycling (2018)
  • 著者名/発表者名: Daigo Ichiro、Kiyohara Shin、Okada Tomoki、Okamoto Daisaku、Goto Yoshikazu
  • 雑誌名: Resources, Conservation & Recycling 巻: 133 ページ: 375～384
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.resconrec.2017.11.012
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 日本における普通鋼中のCu濃度を決定する要因の同定 (2018)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗、纐纈将太、太田暁、林英男、榎学
  • 雑誌名: 鉄と鋼 巻: 104 ページ: Adv. Pub.
  • DOI: https://doi.org/10.2355/tetsutohagane.TETSU-2018-009
  • 査読あり
• [雑誌論文] 製品の平均寿命を推定するための使用年数分布の重要性 (2018)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗、小口正弘
  • 雑誌名: 日本LCA学会誌 巻: 14 ページ: 70-76
• [雑誌論文] 持続可能な開発目標に向けた電子機器の使用年数の把握と傾向分析 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山末英嗣，光斎翔貴，クラビオットジョルディ，安永玲華，グエンデュッククワン，梅田靖
  • 雑誌名: 日本LCA学会誌 巻: 14 ページ: 77-83
• [雑誌論文] Bottlenecks in material cycle of nickel (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakajima Kenichi、Daigo Ichiro、Okada Kenichi、Koike Shimpei、Nansai Keisuke、Matsubae Kazuyo、Takeda Osamu、Miki Takahiro
  • 雑誌名: Materiaux & Techniques 巻: 104 ページ: 604～604
  • DOI: https://doi.org/10.1051/mattech/2017011
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Spatial distribution of tramp element contents in recycled steel (2017)
  • 著者名/発表者名: Shunsuke Kuzuhara, Haruka Sakuma, Hideo Hayashi, Ichiro Daigo
  • 雑誌名: ISIJ International 巻: 57 ページ: 758～763
  • DOI: https://doi.org/10.2355/isijinternational.ISIJINT-2016-508
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 鉄鋼材料のリサイクル (2017)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗
  • 雑誌名: 材料と科学と工学 巻: 54 ページ: 57-60
• [雑誌論文] Comparative Analysis of Average Time of use of Home Appliances (2017)
  • 著者名/発表者名: Cravioto Jordi、Yasunaga Reika、Yamasue Eiji
  • 雑誌名: Procedia CIRP 巻: 61 ページ: 657～662
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.procir.2016.11.248
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Material Flows from Electronic Waste: Understanding the Shortages for Extended Producer Responsibility Implementation in Vietnam (2017)
  • 著者名/発表者名: Nguyen Duc-Quang、Ha Vinh-Hung、Eiji Yamasue、Huynh Trung-Hai
  • 雑誌名: Procedia CIRP 巻: 61 ページ: 651～656
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.procir.2016.11.184
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Lifetime Analysis for Electronic Devices in Vietnam (2017)
  • 著者名/発表者名: Yamasue Eiji、Cravioto Jordi、Nguyen Duc Quang、Oguchi Masahiro、Daigo Ichiro
  • 雑誌名: Procedia CIRP 巻: 61 ページ: 152～154
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.procir.2016.11.269
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 繰返し素材リサイクルによる不純物元素の濃度変化説明モデル 鉄鋼材の事例 (2018)
  • 著者名/発表者名: 纐纈将太，醍醐市朗，藤村玲央，林英男，Sprecher Benjamin，榎学，後藤芳一
  • 学会等名: 第13回日本LCA学会研究発表会
• [学会発表] 有用な金属材料の持続可能な利用に向けて (2018)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗
  • 学会等名: 第27回東京大学環境安全研究センターシンポジウム
  • 招待講演
• [学会発表] リサイクル推進に向けた金属素材ごとの促進・阻害要因の抽出 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中駄将人，醍醐市朗，榎学，後藤芳一
  • 学会等名: 第13回日本LCA学会研究発表会
• [学会発表] 物質フロー分析による使用済み製品からの散逸量の推計 (2018)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗
  • 学会等名: 資源・素材学会 平成30(2018)年度 春季大会
  • 招待講演
• [学会発表] 動的MFA モデルを用いた都市鉱山入出量の推計 (2018)
  • 著者名/発表者名: 武山健太郎, 大野肇, 松八重一代, 中島謙一, 近藤康之, 長坂徹也
  • 学会等名: 第13回日本LCA学会研究発表会
• [学会発表] 使用済自動車の部品リユースおよび素材リサイクルに関するシナリオ分析 (2018)
  • 著者名/発表者名: 張政陽, 武山健太郎, 松八重一代, 中島謙一
  • 学会等名: 日本鉄鋼協会 第175回春季講演大会
• [学会発表] 日本における炭素鋼中の Cu濃度の決定要因 (2018)
  • 著者名/発表者名: 纐纈将太，醍醐市朗，榎学
  • 学会等名: 日本鉄鋼協会 第175回春季講演大会
• [学会発表] 素材リサイクルにおける散逸フロー推計 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中駄将人，醍醐市朗，榎学
  • 学会等名: 日本鉄鋼協会 第175回春季講演大会
• [学会発表] 持続可能な開発目標と鉄鋼の関連性の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 畑山博樹, 田原聖隆, 醍醐市朗, 高木重定
  • 学会等名: 日本鉄鋼協会第175回春季講演大会
• [学会発表] 材料技術開発を対象としたLCAの枠組みの検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 畑山博樹, 田原聖隆, 醍醐市朗
  • 学会等名: 第13回日本LCA学会研究発表会
• [学会発表] LCAとしてのTMRからみたサーキュラーエコノミー (2018)
  • 著者名/発表者名: 山末英嗣
  • 学会等名: 第23回日本LCA学会講演会
  • 招待講演
• [学会発表] 鉄鋼リサイクル材におけるトランプエレメントの広域濃度分析とその統計的解析 (2018)
  • 著者名/発表者名: 工藤克之，葛原俊介，林英男，醍醐市朗
  • 学会等名: 第78回分析化学討論会
• [学会発表] Development of a new LCA framework for materials (2017)
  • 著者名/発表者名: Ichiro Daigo, Kenichi Nakajima, Eiji Yamasue, Kazuyo Matsubae, Hiroki Hatayama, Yoshinao Kobayashi
  • 学会等名: 1st International Conference on Energy and Material Efficiency and CO2 Reduction in the Steel Industry 2017
  • 国際学会
• [学会発表] 製品LCAと素材LCAとは (2017)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗
  • 学会等名: 第7回グリーンスチールセミナー
  • 招待講演
• [学会発表] A new LCA framework for materials (2017)
  • 著者名/発表者名: Ichiro Daigo
  • 学会等名: Seminar at Institute of Environmental Sciences (CML), Leiden University
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] The total anticorrosive function performed by steel stock in use (2017)
  • 著者名/発表者名: Ichiro Daigo, Yumi Aduma, Yoshikazu Goto
  • 学会等名: 1st International Conference on Energy and Material Efficiency and CO2 Reduction in the Steel Industry 2017
  • 国際学会
• [学会発表] Identification of end-of-life products causing tramp element contamination in carbon steel (2017)
  • 著者名/発表者名: Satoshi Ohta, Ichiro Daigo, Yoshikazu Goto
  • 学会等名: 1st International Conference on Energy and Material Efficiency and CO2 Reduction in the Steel Industry 2017
  • 国際学会
• [学会発表] Identifying the factors of the difference of impurity element contents in steel between Japan and Netherlands (2017)
  • 著者名/発表者名: Shota Koketsu, Leo Fujimura, Benjamin Sprecher, Ichiro Daigo, Yoshikazu Goto
  • 学会等名: 1st International Conference on Energy and Material Efficiency and CO2 Reduction in the Steel Industry 2017
  • 国際学会
• [学会発表] マテリアルフローを活用してコストを削減し環境に配慮する経営とは (2017)
  • 著者名/発表者名: 醍醐市朗
  • 学会等名: 愛媛県経済同友会 環境エネルギー委員会講演会
  • 招待講演
• [学会発表] Global distribution of material stocks: iron, copper, and nickel (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakajima K., Daigo I., Nansai K., Matsubae K., Takayanagi W., Tomita M., Matsuno Y.
  • 学会等名: 11th International Conference on Society & Materials
  • 国際学会
• [学会発表] Global Distribution of Hidden Flows Induced by Consumption of Metals (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakajima K., Nansai K. Matsubae K. Tomita M. Takayanagi W.
  • 学会等名: World Resources Forum 2017
  • 国際学会
• [学会発表] Estimation of possibility of steel scrap as secondary resource of Ni and Cr (2017)
  • 著者名/発表者名: K.Takeyama, H.Ohno, K.Matsubae, K.Nakajima, Y.Kondo, T.Nagasaka
  • 学会等名: 1st International Conference on Energy and Material Efficiency and CO2 Reduction in the Steel Industry 2017
  • 国際学会
• [学会発表] Optimization of steel scrap use by focusing on alloying elements with IO-MFA based linear programming towards the development of sustainable steel cycle in our society (2017)
  • 著者名/発表者名: H.Ohno, K.Matsubae, K.Nakajima, Y.Kondo, S.Nakamura, T.Nagasaka
  • 学会等名: 1st International Conference on Energy and Material Efficiency and CO2 Reduction in the Steel Industry 2017
  • 国際学会
• [学会発表] 持続可能かつ継続可能な資源利用にむけて (2017)
  • 著者名/発表者名: 中島 謙一
  • 学会等名: 平成28年度LCA日本フォーラム・日本LCA学会共催セミナー
  • 招待講演
• [学会発表] Japan activities for designing a sustainability strategy for global resource network (2017)
  • 著者名/発表者名: K.Nakajima
  • 学会等名: Nickel Seminar LCA WORKSHOP
  • 国際学会