研究実績の概要 |
本研究は、未開拓なウキクサ亜科植物PGPBの基礎と技術を開発するとともに、「PGPB技術」×「デンプン生産ウキクサ栽培」によるエネルギー生産性とCO2排出削減性を徹底的に高めたデンプンバイオマス生産システムを創出することを目的としている。 平成29年度は、Spirodela polyrhiza, Lemna minor, Lemna gibba, Landoltia punctataの4種類のウキクサと、それぞれのウキクサの生育を促進するPGPBを組み合わせた水耕栽培システムを構築した。そのシステムに下水二次処理水、養豚排水、し尿嫌気性消化脱離液と食品工場排水の4種類の排水を流入してウキクサデンプンバイオマスの生産性を調べた。その結果、いずれのウキクサ-PGPBシステムにおいても各種排水から窒素とリンを効率的に吸収し、光合成によってデンプンバイオマスを生産した。その生産速度はPGPBなしのウキクサ栽培システムに比べて2倍程度高いものとなった。 また、パイロットスケールのウキクサ(Spirodela polyrhiza)-PGPBシステムを試作して下水二次処理水100Lを流入した。そのパイロット実証実験においても、PGPBによってウキクサデンプン資源生産がPBPGなしの野生ウキクサに比べて2倍以上高まった。 さらに、そのウキクサバイオマスを原料として同時糖化・エタノール発酵することによって高い収率(0.16-0.17 kg-エタノール/kg)でエタノール生産できること、また、嫌気性消化汚泥と混合してメタン発酵することによって480NL-メタン/kgの高収率でメタンガスを生産することに成功した。このウキクサのエタノール生産収率とメタン生産収率は、他のエネルギー作物や微細藻類と同等以上であった。
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