研究課題/領域番号 |
15H02878
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
森下 あおい 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10230111)
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研究分担者 |
渡邊 敬子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (80369652)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 3次元計測 / 体形 / 衣服 / スタイル画 / デザイン / シニア / ファッション / デフォルマシオン |
研究実績の概要 |
衣服のデザインは,現実の人体を念頭におきながら理想的な体形像をイメージすることで新しいアイデアが創出される.しかし中高年者に対しては,デザインの目指すべき体形像が掴めていない現状がある.そこで本課題では3次元人体計測によって中高年者の体形特徴を分析するとともに,デフォルマシオン(意図的変形による芸術効果)が施されたスタイル画から,中高年者の体型特徴に沿った理想の体形像を明らかにし,デザイン設計に欠かせない基準体形像を構築する.今年度は(1)人体計測と体形分析,(2)スタイル画制作とデフォルマシオン分析,を当初の研究計画に沿って実施した. (1)については,40歳代~70歳代の中高年女性を被験者として,3次元計測値,及びJIS規格で採用されているマルチン式計測法に準拠したサイズ値を収集した.特にプロポーションに関する値については、体形観察とともに数値分析を行った。さらにこのデータに対して,デザイナーによる観察を行い,体形特徴を検討のうえ類別化し,体形タイプ別の代表体形を決定した.また代表体形に近い被験者も選定した. (2)については,ファッションデザイナー10名によって,(1)で作成した体形タイプ別の代表体形を提示し,各々の描写の意図を添えた着衣あり,着衣無しのスタイル画を作成した.さらに被服人間工学的な15の基準点を設定した骨格モデルをそのスタイル画に適用して「ポーズ表現可能な骨格2次元モデル」を構成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の進捗状況は,以下の点で概ね順調に進めることが出来たと考えている.まず体形分析を行うための中高年の人体計測及び,着衣形態調査の被験者については,地域の方への依頼から今後につながる協力関係を得て,実験調査の方針を計画に沿って進めることができた.また人体計測を行う研究環境として,本課題で得た人体3次元スキャナーと,既に大学で所持していた計測器を効率よく併用し採取できた.また研究を進める中で,必要となった3次元計測データの分析については,ソフトウェアの改良により,ランドマーク情報を得ることができた.次にスタイル画作成については,ファッションデザイナーからの協力が得られ,課題に対するスタイル画の作成内容と提示する説明内容など,事前に詳細なヒアリングなどを行うことで,実験内容の修正が適切に行うことができた.一方,計画に対してやや遅れた点として,人体計測データの収集,デザイナーによるスタイル画の作成が当初目標とした数には達することができなかった.これをふまえて今後は人体計測データの収集を引き続き行い,分析の精度を高める.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに本研究で抽出したシニア女性の人体計測データと,本課題以外で収集された人体計測データと比較し,本課題で得た体形特徴の内容を精査し,体形特徴を考察する.次にスタイル画に描かれた体形と,現実の代表体形についてのシルエットの相互関係を数値的分析する.ここではシルエットの違いを明確に可視化するモーフィング技術によって部位の変化について観察を行い,シニア女性に対するスタイル画のデフォルマシオンの特徴を解明し,法則性を明らかにする.またこれまでに抽出した「デフォルマシオンの変換技術」を応用し,体形を美しく見せるデフォルマシオンとポーズを代表体形に適用させ「体形タイプ別のデザイン用の基準体形像」を作成する方法を検討する.このデフォルマシオンの変換技術は,Deformation技術の一種で,スタイル画の衣服に適用すればさまざまなニュアンスを持つデザイン画を自動的に生成できると考えられる.この技術の応用に関しては,ポーズへの対応および人体についての記述精度の向上が必要であるため,同時に他の方法も含めて検討する. 最終的な本研究の成果としては,基準体形像を用いて描いたスタイル画から衣服がどのようにデザインされるか有用性評価を行う.具体的には,開発した基準体形像を用いて作成したスタイル画から,現実体形に合う寸法変換が正確に対応できるか,型紙作成についても検証する.制作した衣服を代表体形である被験者に着用実験による主観評価,および少数の専門家による評価を実施する.これらのデータに基づき基準体形像の妥当性を検証する.
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