研究課題/領域番号 |
15H02886
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
金澤 等 福島大学, 共生システム理工学類, 特任教授 (50143128)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポリアミノ酸 / 吸着 / 分子形態 / 分子間相互作用 |
研究実績の概要 |
[緒言]高分子材料を用いて、環境汚染物質を吸着して除去するためには、高分子―汚染物質の分子間相互作用の強弱が、重要な因子である。しかし、吸着現象は複雑であるために、詳細な研究は見られない。そこで、構造の類似した一連のアミノ酸残基をもつポリアミノ酸を合成して、アミノ酸残基による有機化合物の吸着の違いを検討した。[実験]1)材料 ①ポリアミノ酸:各種アミノ酸のN-カルボキシ無水物を合成し、開始剤としてアミンを用いて重合して、ポリグリシン、ポリ(L-アラニン)、ポリ(L-バリン)、ポリ(L-ロイシン)、ポリ(L-イソロイシン)ポリ(L-フェニルアラニン)(PL-Phe)、ポリ(β-ベンジル-L-アスパルテート)(PBLA)、ポリ(γ-メチル-L-グルタメート)(PMLG)、ポリ(γ-ベンジル-L-グルタメート)(PBLG)を得た。②吸着物質:各種アルコール、ベンゼン置換体などを用いた。2)吸着実験:特別容器の底部に化合物を単独/混合物として置き、その蒸気をポリアミノ酸にさらした。吸着物質を抽出して、GC分析を行った。単位重量に対する化合物吸着量を計算した。3)ポリマー分子形態 FTIRのATR法で求めた。4)材料の表面積はガス吸着測定装置で測定した。[結果]1. 各種ポリアミノ酸の吸着特性 ポリアミノ酸に対する9種の有機化合物の混合物からの各化合物の吸着を検討した。次の事が見出された。1) ポリグリシンは吸着量が極端に少ない。2) 蒸気圧高さの順序は、メタノール>アセトニトリル>ジオキサン>トルエンであった。蒸気圧の高い順と一致しないので、分子構造からの検討の必要性が示唆された。 2. ポリマーの分子形態と吸着の関係 αヘリックス、βシ-ト構造をもつPL-PheとPMLGに対する有機化合物の混合物からの吸着を検討して、分子形態の違いが見られた。分子構造からの説明を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿った基礎研究の成果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
空気中の汚染物質を吸着除去できる材料の分子設計を行う。
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