研究課題/領域番号 |
15H02888
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
薩本 弥生 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (10247108)
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研究分担者 |
島崎 康弘 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (20584270)
杉本 千佳 横浜国立大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40447347)
田中 英登 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60163557)
佐古井 智紀 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70371044)
西原 直枝 聖心女子大学, 文学部, 講師 (90611129)
小柴 朋子 文化学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70310399)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 熱中症予防 / 温熱的快適性 / ウェアラブルボディエリアネットワーク(WBAN) / 着衣の蒸発熱伝達 / 発汗サーマルマネキン / 換気計測-トレーサガス法 |
研究実績の概要 |
ウェアラブル無線センサシステムと環境センサシステムのデータ統合による熱中症予防支援システムの構築:生体パラメータを計測するウェアラブル無線センサシステムと環境中に配置した温熱環境計測システムや生体の温湿度センサシステムのデータを収集・蓄積・解析評価するためのシステムデザインを再検証し,熱中症予防支援システム構築に必要なセンサやサーバアルゴリズム等要素技術の改良を行った. 温熱負荷環境時の温熱環境・生理応答の実測・解析:アウトドア用パーカ前部に配置した換気口が換気速度,熱水分移動性,被験者の主観へおよぼす効果を検証することを目的として前部に配置した換気口の開口条件を変えてトレーサガス法による換気計測実験と,トレッドミル歩行による温熱負荷の被験者実験を行った.また必要換気速度を算出し,実測した換気速度との比から開口効果の検証を行った. 運動時の温熱生理応答を予測するモデルの構築:運動時の温熱生理応答を予測するモデルを構築し,上記温熱付加実験の実測データを用いて計算を行い,モデルの検証を行った. 発汗サーマルマネキンとトレーサガス法による換気計測による熱水分同時移動系の蒸発熱抵抗評価システムの構築:発汗サーマルマネキンを用い,蒸発熱伝達性とトレーサガス法を用いた換気計測を同期して行い,両者を比較することで,着衣の蒸発熱抵抗(蒸発熱伝達率の逆数)の評価法として換気速度からの間接的評価法の妥当性を検証した.さらに透湿防水パーカ着装時の蒸発熱伝達率や換気速度へのパーカの透湿特性と換気口の開口条件の影響を検証した. 足部および着靴時足部の温熱評価,および改善策の検討:日常生活における人体の温熱状態および靴内気候の変化と快適性との関係性について検証した.また望ましい温熱環境を定量的に規定する必要性から,上述の結果を踏まえて,全身および足部のいくつかの温熱状態における快適感マップを作成した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱中症予防システム構築に向け,無線センサシステム等を用いたフィールドおよび実験室実験が実施でき,運動時の温熱生理応答を予測するモデルを構築し,上記温熱付加実験の実測データを用いて計算を行い,モデルの検証ができ,さらにモデルの精度向上に向けて重要な着衣の蒸発熱伝達率のデータの計測方法に関して発汗サーマルマネキンでの計測方法の検証ができたため,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
Two node modelにより運動時の温熱生理応答を予測するモデルを組み込むWBANセンサシステムにおいて必要となる生体パラメータを算出するための活動量計を選定し,時々刻々の生体情報や環境情報をもとに状態を判別するシステムを構築する.一方,熱中症予防が重要な課題である高齢者は運動時の若年者とはモデルの修正が必要と考えられる.比較的健康な高齢者を被験者に生活実態を把握するための問診票を作成し質問紙調査をするとともに自宅での環境,生理データの実態調査を行う.以上のデータを蓄積し,若年者の運動時あるいは高齢者の日常生活時の常時モニタリングシステムへ応用し,取得したデータからの熱中症行動・状態モデルの構築と新たな評価指標による熱中症予防支援システムを構築する.また,暑熱環境時の熱中症予防のため温熱的に最適な着衣の条件を検討するため,着衣の熱水分移動性能への風,動作および着衣のデザインによる影響を評価するシステムを構築する.特に閉塞型の靴着用時の足の蒸れは未だ解決できない問題であるため,引き続き靴内環境の評価実験とモデルの構築をめざす.
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