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2015 年度 実績報告書

ステロール代謝の分子栄養学的制御と動脈硬化症

研究課題

研究課題/領域番号 15H02903
研究機関中部大学

研究代表者

横山 信治  中部大学, 応用生物学部, 教授 (10142192)

研究分担者 中川 大  中部大学, 応用生物学部, 講師 (40397039)
呂 鋭  中部大学, 応用生物学部, 助教 (80381862)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードコレステロール / HDL / ABCA1
研究実績の概要

1)膜ABCトランスポーターに属するABCA1はHDL産生に必須の因子であり、細胞と全身のコレステロール代謝平衡の維持に重要な役割を果たしている。しかしその作用機序は理解されていない。過去の我々の研究でABCA1の発現は膜ラフトを減少させること、またラフト構造を破壊し形質膜コレステロールの細胞内移動を起こすことが知られている膜フィンゴミエリンの水解は、細胞外アポAI存在下ではABCA1 により生じるHDL中のコレステロールの増加をもたらすことが示された。そこで、ABCA1はラフトに働きかけてコレステロールの流動性を高めるのという仮説を証明するために、ABCA1欠損マウスの細胞における細胞内ステロール輸送を検討した。ABCA1欠損状態では膜コレステロールが細胞内のERにおけるステロール代謝制御プールへの移行が減少することが示され、ABCA1はラフト形成により形質膜へのコレステロールの偏在を不安定化することが示された。またコレステロール合成の中間体ステロールもコレステロールと同様の輸送経路によりABCA1存在下ではHDLへの移行が見られることが示された。
2)ABCA1は遺伝子発現のみならずカルパインなどによるタンパク質分解によっても活性制御を受ける。我々は過去の研究で、ABCA1の分解を抑制する因子であるプロブコール酸化物スピロキノンやジフェノキノンがABCA1の活性を高めてHDL産生を増加させ、動物モデルにおける動脈硬化発症を抑制することを示した。これらの化合物が、モデル動物においてマクロファージコレステロールの肝臓からの排泄を増加させることを証明し、ABCA1の分解抑制がいわゆるコレステロール逆転送系を活性化することが直接示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」に述べたように、研究成果は概ね順調に挙っていると考える。

今後の研究の推進方策

1)ABCA1の分解による活性制御の機序について、その阻害物質であるスピロキノン/ジフェノキノンが膜ABCA1が細胞内に取り込まれるのを抑制することに着目し、この反応の制御をABCA1と他の膜タンパク質との相互作用に依存するとの仮説をたててこれを検証する。
2)ABCA1の活性制御における糖尿病の病態の影響とその分子機構を明らかにし、糖尿病におけるHDL低下のメカニズムを解明し、糖尿病における動脈硬化発症進展のリスクの背景を解明する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 2件)

  • [国際共同研究] Dartmouth University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Dartmouth University
  • [雑誌論文] Probucol-Oxidized Products, Spiroquinone and Diphenoquinone, Promote Reverse Cholesterol Transport in Mice2016

    • 著者名/発表者名
      Yakushiji E, Ayaori M, Nishida T, Shiotani K, Takiguchi S, Nakaya K, Uto-Kondo H, Ogura M, Sasaki M, Yogo M, Komatsu T, Lu R, Yokoyama S, Ikewaki K
    • 雑誌名

      Arterioscler Thromb Vasc Biol

      巻: 36 ページ: 591-597

    • DOI

      10.1161/ATVBAHA.115.306376

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ABCA1-dependent sterol release: sterol molecule specificity and potential membrane domain for HDL biogenesis2016

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi Y, Yokoyama S, Chang TY
    • 雑誌名

      J Lipid Res

      巻: 57 ページ: 77-88

    • DOI

      10.1194/jlr.M063784

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Sequential change in physicochemical properties of LDL during oxidative modification2015

    • 著者名/発表者名
      Kido T, Kondo K, Itakura H, Yokoyama S
    • 雑誌名

      Chem Phys Lipids

      巻: 193 ページ: 52-62

    • DOI

      10.1194/jlr.M063784

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ATP-binding cassette transporter A7 (ABCA7) loss of function alters Alzheimer amyloid processing2015

    • 著者名/発表者名
      Satoh K, Abe-Dohmae S, Yokoyama S, St George-Hyslop P, Fraser PE
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 290 ページ: 24152-24165

    • DOI

      10.1074/jbc.M115.655076

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Deficiency in the Lipid Exporter ABCA1 Impairs Retrograde Sterol Movement and Disrupts Sterol Sensing at the Endoplasmic Reticulum2015

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi Y, Iwamoto N, Rogers MA, Abe-Dohmae S, Fujimoto T, Chang CC, Ishigami M, Kishimoto T, Kobayashi T, Ueda K, Furukawa K, Chang TY, Yokoyama S
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 290 ページ: 23464-23477

    • DOI

      10.1074/jbc.M115.662668

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Prevention of fatal hepatic complication in schistosomiasis by inhibition of CETP2015

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama S, Okumura-Noji K, Lu R
    • 雑誌名

      J Biomed Res

      巻: 29 ページ: 176-188

    • DOI

      10.7555/JBR.29.20150005

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Unique features of high-density lipoproteins in the Japanese: in population and in genetic factors2015

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama S
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 7 ページ: 2359-2381

    • DOI

      10.3390/nu7042359

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-08-25  

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