研究課題/領域番号 |
15H02904
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森田 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 総括研究主幹 (60371085)
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研究分担者 |
芳賀 早苗 北海道大学, 保健科学研究院, 特任講師 (60706505)
酒井 佳夫 金沢大学, 医学系, 准教授 (80401925)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) / 脂肪肝 / マーカー分子 / メタボリック症候群 |
研究実績の概要 |
新規マーカー(p62/SQSTM1)に関しての臨床検体を用いた研究を進めた。研究期間内に、13例の非ウイルス性患者の肝臓、20例のウイルス性患者の肝臓の検討を行うことができた。p62/SQSTM1染色に関して、C型肝炎背景肝の多くで染色が認められないため、脂肪化に伴うp62/SQSTM1発現の増減評価は困難であった。同時に検討したkeap-1発現は、 C型肝炎背景肝および非ウイルス肝背景ともに、癌が発生してくる場合、背景肝、癌ともに発現している例が多く、抗酸化作用が減弱した背景から出現する可能性が示唆された。p62/SQSTM1とKeap-1の関連による影響の評価は現時点では難しいと考えられたが、これらを組み合わせることでより正確な診断ができる可能性が示された。今後の検討課題としては、男女に分けて、それぞれのグループでの症例数を追加する、あるいはアルコール性肝炎、ウイルス性肝炎との相違が明瞭であれば、「非アルコール性、非ウイルス性脂肪性肝炎」に絞って検討を進める、ことが考えられた。 p62/SQSTM1の測定に関しては、当初細胞実験(膵癌細胞などの癌細胞を使用した検討)により細胞外(培養液中)に漏出するp62/SQSTM1の測定に成功していた。膵癌細胞では強くp62/SQSTM1分子が発現していたため、培養液中でのELISAによる測定は十分可能であったが、血液中のp62/SQSTM1のアッセイに関しては、ELISA法ではp62/SQSTM1が検出できなかった。これは、NASHなどの疾患ではp62/SQSTM1の変化の程度・割合が少ないことがその原因と考えられた。ELISAに用いる抗体として、1桁ないし2桁の感度を挙げる必要があることが判明した。一方、新たな分子がマーカーとなる可能性が発見されたため、この分子のマーカーとしての可能性を並行して検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
p62/SQSTM1の生体でのアッセイ方法の技術的な問題が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体においては、以下の点に留意して実験を進める。 1)男女に分けて、それぞれのグループでの症例数を追加する。 2)アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎との相違が明瞭となれば、「非アルコール性、非ウイルス性脂肪性肝炎」に絞って検討を進める。 p62/SQSTM1に対するELISA法の開発のための抗体作製を試みる。 新たなNASHに対する分子マーカーに対して、その可能性を細胞実験にてNASH発症および病態進行における役割を検討する。
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