研究課題
本研究では,小・中学校理科の観察・実験で工夫しても教科書通りの結果が得られないものが存在し,児童・生徒の観察・実験結果を生かしたまとめができず,理科教員たちを悩ませている状況を鑑み,現職理科教員を対象にした質問紙調査およびインタビューにより,教科書の結果と矛盾してしまう観察・実験を特定する。そして,教科書の結果と矛盾しなくなるように,教科内容専門の分担研究者や海外共同研究者とともに解決策を開発し,実際の理科授業でその有効性を実証することを目的とする。また,今までは限られていた優れた日本の理科授業 (特に観察・実験)の情報を広く国内外で共有することも目的とした。平成29年度は,現職教員対象の調査結果から,最も「うまくいかない」と回答された割合が高かった化学「定比例の法則を示す金属の酸化実験(81.1%)」,生物「細胞分裂の観察(59.5%)」の改善例を開発し,論文化した。「血液の循環」「光合成」「植物の結実」「金星の満ち欠け」の改善例を開発し,研究・論文発表した。また,シンガポール・NIEやドイツ・ブレーメン大学との共同研究の成果を発表し,優れた日本の理科授業 (特に観察・実験)の情報を国内外で共有した。そして,新たにカナダ University of British Columbia,ドイツのCarl von Ossietzky Universityの理科教育チームと研究計画推進のための会議を実施し,実際に共同研究が実現することになった。
2: おおむね順調に進展している
着実に,工夫しても教科書通りの結果が得られない観察・実験の改善例を提案し,研究・論文発表に結び付けている。また,シンガポール・NIEやドイツ・ブレーメン大学との共同研究の成果を発表し,優れた日本の理科授業 (特に観察・実験)の情報を国内外で共有している。平成30年度は,研究代表者がサバティカル研修で一年間,The University of British Columbia( Canada )にVisiting Professorとして滞在し,Mathematics and Science EducationのProf. Anderson や Prof. Tanらと共同研究を推進することになった。今後は,シンガポール・ドイツに続き,カナダの理科教育チームと共同研究を推進し,他国の知見も取り入れて解決策を開発し,本研究知見を各国でも共有する予定である。
平成30年度は,本研究の最終年度にあたり,研究代表者がサバティカル研修で一年間,The University of British Columbia( Canada )に滞在し,共同研究を推進することになった。今までのシンガポール・NIEやドイツ・ブレーメン大学との共同研究に加えて,昨年度までの工夫しても教科書通りの結果が得られない観察・実験の改善例をカナダでも検討し,優れた日本の理科授業 (特に観察・実験)の情報を国内外で発表する。研究代表者は,カナダ滞在中に現地の小・中学校で日本式のLesson Study(授業研究)を展開しながら,本研究の成果を現地の理科授業改善に生かすことも計画している。研究分担者は,Twincle・「逆」Twincle Programで来日した留学生たちにも,本研究の成果を優れた日本の理科教育のコンテンツとして紹介し,科学の授業づくりに生かしてもらう予定である。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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