研究課題/領域番号 |
15H02911
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松尾 七重 千葉大学, 教育学部, 教授 (70292654)
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研究分担者 |
中和 渚 東京未来大学, 子ども心理学部, 専任講師 (00610718)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 就学前算数教育 / 幼児教育 / プログラム開発 / 教員研修 / 保護者研修 |
研究実績の概要 |
平成27年度は就学前幼児を対象とした連携算数教育プログラムの実施上の問題点を明らかし、就学前教育機関の教員等及び保護者を対象とした算数教育研修プログラムを構想した。 ①就学前幼児を対象とした連携算数教育プログラムを実施し、その実施前後で聞き取り調査等を行い、その結果を分析した。そのために、就学前教育機関における一般的な日常生活や遊びは小学校算数教育の数と計算、量と測定、図形の領域に関わる算数の活動の素地体験を多く含んでいることを前提にし、ドイツのWittmannが主張する幼児算数教育の教材についての分析を踏まえ、活動の場の設定や十分な活動時間の確保という観点から、幼稚園・保育所・こども園と小学校との滑らかな接続を図る活動内容について具体的に考察した。その結果を踏まえて、以下のプログラムを実施し、その効果と問題点を明らかにした。順序数と集合数を使い分けるためのプログラム(運動会のリレーの練習、「おおきなかぶ」の遊戯、レスキュー隊ごっこ)、ものの個数が増えたり減ったりしたときの個数を求めることについてのプログラム(トランプカードを使ったゲーム)、束とバラの概念理解のためのプログラム(木片を用いた表現)、立体図形の性質の理解のプログラム(積み木による形づくり)、広さを比べるためのプログラム(折り紙を用いた七夕飾りづくり)である。 ②就学前算数教育に相応しい内容と方法を具体化し、それを実施する教師や保護者に対する研修システムを開発することを提案した。 ③就学前教育機関の教員、特に初任者を対象とした算数教育研修プログラム(試案)を実施し、参加者の反応を確認した。 ④こども園に通う幼児の保護者を対象とした講演会を実施して、受講者の反応を確認した。 ⑤以上の結果の一部を、日本数学教育学会平成27年度秋期研究大会で発表した。また、平成28年度春期研究大会の幼児教育分科会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目的である、就学前幼児を対象とした連携算数教育プログラムの実施上の問題点を明らかにし、就学前教育機関の教員等及び保護者を対象とした算数教育研修プログラムを構想することができたため。また、結果の一部を、日本数学教育学会秋期研究大会で発表することができた。さらに、他の一部を、日本数学教育学会春期研究大会で課題別の分科会に採択され、そこで発表する予定であるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は次の3つの課題、すなわち、課題1:就学前幼児を対象とした連携算数教育プログラムの実施上の問題点の改善を目指し、就学前教育機関の教員等や保護者を対象とした算数教育研修プログラム構築のための枠組みを設定すること、課題2:この枠組みを基に就学前教育機関の教員等及び保護者を対象とした算数教育研修プログラムを構想すること、課題3:プログラムを試行し、その効果を検証すること、を解決する。そのために、以下の5つの項目について実施する。 ①就学前教育機関の教員等や保護者を対象とした算数教育研修プログラム構築のための枠組みを設定する。②就学前教育機関の教員等や保護者を対象とした算数教育研修プログラム構築のための枠組みに基づいた講義および研修活動を構想する。③幼稚園やこども園の教員等を対象として、また保護者を対象として予備研修(講義を含む)を実施する。④予備研修の効果検証のための調査を実施し、その結果を分析し、効果を明らかにする。⑤平成28年度までに明らかになった研究成果を発表する。
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