研究課題/領域番号 |
15H02922
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
重田 勝介 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (40451900)
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研究分担者 |
八木 秀文 東北大学, オープンオンライン教育開発推進センター, 特任助教 (00740127)
森 秀樹 東京工業大学, 教育革新センター, 准教授 (30527776)
林 康弘 帝京平成大学, 地域医療学部, 講師 (50382544)
武田 俊之 関西学院大学, 高等教育推進センター, 教育技術主事 (70227031)
金子 大輔 北星学園大学, 経済学部, 教授 (70397438)
永嶋 知紘 北海道大学, 高等教育推進機構, 特定専門職員 (90749988)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教授学習支援システム / MOOC / 学習履歴データ / 教育工学 |
研究実績の概要 |
本年度は、大規模公開オンライン講座(MOOC)で得られる学習履歴データを活用した学習支援を行うことを目的として、以下の研究を実施した。 1)学習履歴データから教材改善に有効なデータの獲得:MOOCを使ったオンライン教育と、MOOCを使った反転授業を導入した大学生向け対面教育を実施し、教材改善に寄与する学習履歴データを取得した。具体的には、MOOCのビデオの視聴状況と、ディスカッションボードの書き込みから教材の誤りや改善点を抽出する手法を開発し、取得した学習履歴データを用いて分析を行った。 2)学習履歴データから教育改善に有効なデータの獲得:MOOCを使ったオンライン教育と、MOOCを使った反転授業を導入した大学生向け対面教育を実施し、ダッシュボードを介して教育改善に寄与する学習履歴データを取得した。具体的には、MOOCの受講者の受講動機や目的意識、学習にかけることができる想定時間を事前にアンケート調査で把握し、似通ったタイプの受講者をグループ分けし、グループごとに適した学習支援や追加教材を提供する手法を開発した。加えて、受講中の学習ログからグループの再編成を行う手法も開発し、取得した学習履歴データを用いて分析を行った。 3)講師向け「教材・教育改善ダッシュボード」プロトタイプの構築:平成27年度に設計したインタフェースに基づいて、ダッシュボードのプロトタイプを開発した。 4)実証実験の実施支援と評価:MOOCを使ったオンライン教育と、MOOCを使った反転授業を導入した大学生向け対面教育を実施し、開発したダッシュボードのプロトタイプが教材・教育改善に寄与する効果ならびに可能性と課題を検討した。加えてMOOCの先行研究に関する縦断的な調査を実施し、オンライン学習の評価方法に対する既存のアプローチの分類を行った上で、本研究で開発するダッシュボードの新規性を高める手法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定通り、「教材・教育改善ダッシュボード」のプロトタイプを開発した。このダッシュボードでは、テキスト分析(トピックモデル)によって推定した教材の構造等と、ビデオ視聴などの学習行動履歴を結びつけた視覚化をおこなう。MOOCを開講するLMS(moodle)から得られるデータを分析できるよう,分析およびダッシュボード開発の環境整備をおこなった。 またMOOCを1回開講し、MOOCを使った反転授業を導入した大学向け対面教育を3講義実施した。これらの取り組みから学習履歴データを取得し、翌年の分析ならびにダッシュボードの改善につなげることができるオンライン教育ならびに反転授業を実施する上での着目点および課題を把握することができた。 また発展的な研究として、テキストの引用を関連づけながら議論を進める「互読」サービスの開発と,オンライン・ワークショップを実施した。この取り組みから得られたオンライン教育を実施する上での着目点および課題を把握することができた。 これらの研究実施状況から、本年度の研究は概ね順調に進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本年度取得した学習履歴データを元に、「教材・教育改善ダッシュボード」の改善を進めてゆく。またオンライン教育の効果的な実施に寄与する実施上の着目点が明らかになったことから、これらの要素をダッシュボードに新たに表示させ担当講師に情報提供することも合わせて検討する。これらの分析及びダッシュボードの更なる開発を進め、次年度のMOOCを使ったオンライン教育と、MOOCを使った反転授業を導入した大学生向け対面教育につなげてゆく。
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