研究課題/領域番号 |
15H02927
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三輪 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90219832)
|
研究分担者 |
齋藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00378233)
中池 竜一 平安女学院大学, 国際観光学部, 特任准教授 (00378499)
寺井 仁 近畿大学, 工学部, 准教授 (30397442)
小島 一晃 帝京大学, 理工学部, 助教 (30437082)
神崎 奈奈 名古屋女子大学短期大学部, 保育学科, 講師 (30708665)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 認知モデル / メンタルモデル / 説明活動 |
研究実績の概要 |
これまでに,大学生を対象として,「ルールベースの認知モデル」を計算機上に実装するためのサーバ・クライアント型学習環境,“どこプロ”(どこでもプロダクションシステムの略称)をベースに,ユビキタス実験室を開発した。ユビキタス実験室は,このどこプロに,対象とする心理学的現象に関わる教材コンテンツ,および認知シミュレータを実現するためのインタフェース設計に関わる各種モジュールを追加することで実現された。 具体的には,実験心理学の導入的授業において広く取り上げられる記憶の系列位置効果を題材として,ユビキタス実験室を構築した。まず,どこプロで,系列位置効果の背後にある記憶のメカニズムとして広く知られている記憶の二重貯蔵モデルを構成,実装させるための教材コンテンツを作成した。実装した認知モデルに,いくつかのインタフェースモジュールを組み込むことで,呈示項目の短期記憶への記銘,各項目の短期記憶上でのリハーサル,長期記憶への記銘,短期記憶からの忘却等が,GUI(GraphicalUserInterface)の上でモデルを1ステップずつ進めながら,追跡できる認知シミュレータを実装できるようにした。開発されたシステムを用いて,理論ベース思考の促進に関する実験を行った。学習者は,記憶の理論(二重貯蔵モデルの概念モデル)を学ぶと共に,ユビキタス実験室の教材コンテンツを参照しながら,自ら記憶の二重貯蔵モデルを実装し,シミュレーションを通して系列位置効果を再現した。学習の前後で,系列位置効果を示す典型的な実験結果を呈示し,初頭効果,新近性効果の出現の説明を行わせた。 二重貯蔵モデル(理論)の概念的説明の前後,およびシミュレータを用いた実習の前後において,予測の精度がどう変化するかを分析することで,これらのモデルに関する深い理解が導かれたことを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた学習システムの開発が完了し,学習効果を検討する授業実践を通して,その有用性が確認された。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,学習支援システムの機能を拡張すると同時に,実践の範囲を拡大し,課題を明確化することによって,システムの性能を向上させてゆき,最終目標に近づける。
|