研究課題/領域番号 |
15H02932
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
美馬 のゆり 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00275992)
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研究分担者 |
Michael Vallance 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00423781)
室田 真男 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30222342)
市川 尚 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40305313)
渡辺 雄貴 東京工業大学, 大学マネジメントセンター, 准教授 (50570090)
美馬 義亮 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60325892)
根本 淳子 愛媛大学, e-Learning教育支援センター四国愛媛大学分室, 准教授 (80423656)
鈴木 克明 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90206467)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学習支援システム / 成長モデル / ピアチュータリング / 共同省察 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究では、大学生の段階的(チュータリングを受ける段階、チュータリングをする段階、自分にチュータリングをする段階)成長モデルを確立し、その育成支援システムを開発することを目的としている。 「段階的成長モデルの確立とその育成支援システムの開発」のため、以下の5つのプログラムの開発のための国内外の先進事例および現状調査を実施した。①チュータリング・プログラム、②講義プログラム、③チューター育成プログラム、④ラーニング・アトラス、⑤段階的成長モデル評価プログラム、である。 CRLA(College Reading & Learning Association)は、米国を中心に5か国約850 機関が認定を受けているチューター研修認定制度を持つ。チューター研修の認定を受けるためには、様々な角度からチューターがチューターとしての職務を果たせる準備をし、また実際に果たしていることを確認する仕組みが求められており、事前研修の内容は多岐にわたる。これらの内容をわが国の実情に合わせるため、認証制度の詳細を入手した。また、日本国内でCRLAの認証を受けているのは、名桜大学(沖縄県)と公立はこだて未来大学(北海道)の2大学のみである。そこで両大学の研修プログラムの運用事例について調査し、比較検討を行った。 収集した資料および知見を分析、整理するとともに、わが国の実情、実践研究大学に合わせ、各プログラムの開発、およびそれらを統合した学習支援システム構築のための検討を行った。研修の実践の中ではチューターの共同省察、およびチューター、チューティーともに学習プロセスの可視化が重要であることが見いだされた。これらをもとに、実践研究大学においてeラーニングを含む具体的なプログラム開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度初めに予定していた「段階的成長モデルの確立とその育成支援システムの開発」のため、5つのプログラム(①チュータリング・プログラム、②講義プログラム、③チューター育成プログラム、④ラーニング・アトラス、⑤段階的成長モデル評価プログラム)の開発のための国内外の先進事例および現状調査を実施できた。また、実践研究研究校が年内に3回集まり、研究会を実施することができた。 本研究の初年度であったことを考えれば、情報収集、それを踏まえての検討も行えている。また、積極的に学会発表なども行っており、プログラムのプロトタイプの開発にも着手できたことから、おおむね順調に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査、考察結果を活かし、5つのプログラムの開発それぞれについて、連携をとりつつ、基本設計、詳細設計、システム設計、コーディング、評価と検証、試験運用を行う。反復型開発手法を用い、システムを開発していき、研究実践大学(北海道、東北、首都圏、四国など)において、段階的にリリースしていく。要求仕様の単純なサブセットから開発を始め、徐々に改良を加えていく。 そのためにまず、研究実践大学の学内における関係する学習支援活動を詳細に調査する。学内の教員に対し、担当科目において教育しているメタスキル(記憶、理解、応用、分析、評価、創造)、リテラシー(レポートの書き方など)について、また、基礎学力、基礎スキルに問題のある学生の有無について、質問紙調査、インタビュー調査を実施する。また、ライブラリーや教務課などの職員に対し、授業科目以外で実施されている教育活動についても同様に調査する。 本科研メンバーは、北海道、本州、四国、九州に分散しており、一堂に会すことがスケジュール的にも困難であることが予想される。そこで今後は、いくつかのテーマによってグループを作り、グループ別での研究会を複数回開催する予定である。また、国際学会へ参加し、情報収集や発表などを行う予定ではあるが、近年の世界的な治安の問題にも留意しながら、慎重に進めていきたいと考えている。
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