研究課題/領域番号 |
15H02933
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
永井 正洋 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (40387478)
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研究分担者 |
藤吉 正明 首都大学東京, 学術情報基盤センター, 准教授 (20336522)
畠山 久 首都大学東京, 学術情報基盤センター, 助教 (20725882)
室田 真男 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (30222342)
貴家 仁志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (40157110)
上野 淳 首都大学東京, 学長 (70117696)
山崎 晴雄 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70260784)
福本 徹 国立教育政策研究所, 生涯学習政策研究部, 総括研究官 (70413903)
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
松波 紀幸 帝京大学, 教育学部, 講師 (70783512)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 防災学習 / タブレット端末 / 地震 / 津波 / 避難訓練 |
研究実績の概要 |
本研究では,学習者の自助意識の向上を目的とし,野外において自らの判断で避難できるICT活用型避難訓練を取り入れた学習活動をデザインするとともに,この学習を支援するシステム”ES3”を開発した.具体的には,学習活動のうち,「野外における避難訓練」と「避難訓練結果の振り返り」について,システムの支援が必要と判断した.学校内での避難訓練と異なり,野外では訓練開始のアナウンスや状況の伝達などが行えない.そこで,訓練の状況を学習者に伝達する仕組みが必要となる.野外における活動であるため,安全管理やサポートの観点から教師は学習者の現在位置がリアルタイムに分かることが望ましい.また,学習者の判断や行動はデータとして記録する必要がある.野外学習後にはこれらの記録を用いた振り返りを行うため,データを学習者間で共有し閲覧できる仕組みが求められる.以上を要件として"ES3"は開発されたが,加えて,野外利用を勘案してスタンドアロンで動作するクライアントアプリケーションと,データを非同期で集約し共有するサーバアプリケーションから構成した.本システムの有用性と学習効果の検証のため,野外における避難訓練とその振り返り学習からなる授業実践を高等学校で実施した.同じシナリオであっても学習者によって避難場所の選択が異なっていることから,学習者の主体的な判断で避難経路や避難場所を選択していたと考えられる.したがって,自らの判断で行動する訓練として,本システムを用いた手法に一定の有用性が認められたといえよう.また,主観調査結果からは防災意識の向上と共に,危険な箇所や避難できる箇所を意識し,具体的に説明できるようになったことが認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の全体構想としては,災害時の避難について学習するため,基礎的な知識学習と主体的な判断を訓練する経験学習を組み合わせることで効果的に教育を行えると考えている.知識学習を踏まえて災害時の想定を行い記録するシステム"FaLAS"と,その想定を複合的に組み合わせたシナリオを用いて避難行動を訓練するための"ES3"という2つの学習支援システムを開発することを考えた.本年度は,この内の"ES3"の開発とそれを用いた授業実践を滞りなく行うことができたため,概ね順調な進捗状況であると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,災害時の防災・減災について学習するために,基礎的な知識学習と主体的な判断を訓練する経験学習を組み合わせることで効果的に教育を行えると考えている. 平成28年度までに,初年度は,知識学習を踏まえて災害時の想定を行い記録するシステム"FaLAS"と,2年目は,それら想定を複合的に組み合わせたシナリオを用いて避難行動を訓練するための"ES3"という2つの学習支援システムを用いた授業実践を行ってきた.今後は,両者システムを単年度において,連続した実践の中で活用した場合,どのような特徴と有効性があるのか検証する予定である.
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