研究課題
本研究の目的は、事後ではなく、授業中や実験中、実技中、鑑賞中、参観中の「その場」、「その時」の生徒の注意・関心・了解度を自動または半自動で推定することにある。最終的には、この推定結果を学習中の教授者・学習者双方にフィードバックし、より効果的で効率的な学習支援技術を打ち立てることを目指す。自然科学、なかでも実験科学には、反応や作用が行われている「その場」「その時」の情報と、それを獲得するための技術の重要性を示す"in situ"なる概念があるが、これを敷衍して、まさに学習の現場での学習者の状況をin situに把握し推定する技術を、確立することにある。しかも、従来は熟練の教師の勘・経験に頼らざるを得なかったこれら情報の、機械による定量化を図るものである。この目的のため、平成28年度には、前年度の要素技術の成果を踏まえて以下の項目について研究に取り組み、進展を得た。①暫定版システムの開発:前年度の要素技術開発の成果を統合し、コンテンツ・人物計測・評価定量化・教育プログラムの統合と実装を図った暫定版システムの開発を行った。②実証実験(平成28年度下半期):県立博物館にて実験を実施した。対象には一般来館者としての子供と共に、神戸大学附属小学校の協力を得て数十名の被験者を確保できた。③評価分析:実証実験から得られたデータを総合的に分析した。定量的データとしては、科学への動機付けの向上、関心の度合い、身体行為の度合い、理解深化などについて評価した。特に、事後評価定量化技術の吟味を行い、妥当性を評価すると共に問題点・改善課題の洗い出しを行って、次年度以降の改善を図った。ビデオ等の定性的なデータについても、定量化技術のための支援推定、注視検出などを援用して定量性を導入し、分析のための新たな道具の提供を図った。評価分析結果は、国内外の学会に論文投稿した。
2: おおむね順調に進展している
上記「研究実績の概要」で述べたように、平成28年度は①暫定版システムの開発、②実証実験、③評価分析の3項目について研究に取り組み、進展を得た。これらのうち、①については実験室内に限定するものではなく、博物館や小学校の現場に持ち出しても安定に稼働して実験に供することができるだけのシステム開発に成功した。これにより、②の実証実験の実施が可能となった。①~③の成果については、国内学会ならびに国際学会で発表を行うと共に、論文として纏めて学会に投稿することができた。以上が、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した理由である。
最終年度の平成29年度においては、前年度までの成果を踏まえ、拡張版システムの構築と博物館等と連携した実証実験とを実施する。具体的には以下の項目について研究を推進する。・拡張版システムの開発・第2回実証実験・評価分析・研究の総括
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Proceedings of IOSTE2016(International Organization for Science and Technology Education)
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Proceedings of the 14th International Conference on Control, Automation, Robotics and Vision, 2016 (ICARCV 2016)
巻: Mo32.4 ページ: -
Proceedings of 2016 IEEE International Conference on System, Man, and Cybernetics (SMC2016)
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Proceedings of IDC2016 (The 2016 Conference on Interaction Design and Children)
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Proceedings of the 8th International Conference on Computer Supported Education (CSEDU2016)
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巻: 2 ページ: 181-185