研究課題/領域番号 |
15H02953
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 泰弘 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (30447354)
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研究分担者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
松原 尚志 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30311484)
兼子 尚知 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50356804)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 博物館学 / 古生物学 / 証拠標本 / データベース / 標本ネットワーク |
研究実績の概要 |
1)本研究の目的は、国内の古生物標本を所蔵する大学・博物館・資料館等の標本情報を横断的に検索できるようネットワークを構築することである。その成果として、各機関の標本情報を収録した「日本古生物標本横断データベース」をインターネット上に公開している。平成29年度は、新たに8か所の収蔵機関からの参加の他、これまでのデータへの追加提供があり、標本データ約15,000件を追加・収録した。平成30年3月31日現在で、標本数384,349件、参加機関39件である。また、新たに参加した機関のうち、独自の公開データベース・サイトを持たない6機関について、本研究事業においてデータベース・サイトを作成するとともに、ウェブサーバの一部を提供する公開支援を行った。 2)本研究では、このような既存のデータベースや目録情報を収録するとともに、古生物学の論文に記載された証拠標本について、その所蔵状況を明らかにしていくことも重要な課題である。平成29年度は、北海道、山口県などの博物館・収蔵機関を中心に、証拠標本の所蔵状況を確認する実地調査を行った。併せて収蔵担当者との意見交換を行い、本研究事業への参加・協力を打診した。 3)また、証拠標本を記載した古生物学関連の文献データベースの整備も重要であり、平成29年度は約4,900件を追加収録するとともに、インターネット上に公開した。 4)さらに、本研究では、博物館における古生物標本の整備を効率的に進める方法の確立を目指しており、いくつかの収蔵機関をケーススタディにして、標本キュレーティング活動を支援し、共同で行うプロジェクトを進めている。平成29年度は、北海道北見市・北網圏北見文化センターにおいて、「古生物標本取扱講習会」を開催するなど、標本整理、画像撮影、標本同定、目録・データベース作成等のキュレーティングに関する支援や研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)本研究で継続的に進めているのが、国内の博物館・収蔵機関における古生物標本データベースの公開状況を把握し、それらの標本情報を「日本古生物標本横断データベース」に収録することである。平成29年度は、当初の計画よりはやや少なめであるが、概ね計画通りに各博物館に参加・協力の依頼をすることができ、これらの機関からの参加やデータの提供があり、標本データの収録数を増やすことができた。 2)これまでの研究の進展にともない、平成29年度以降は、標本台帳や目録などの紙媒体をデジタル・データベース化する方向に重点を置くことにした。そこで、まず初めの試みとして、平田茂留著「高知県産化石の目録第1~4集(1972-1977)」の一連の目録について標本データベース(約13,000件)を作成し、データベースを公開するとともに、そこに記載された標本の所蔵調査を行った。この試みの結果、今後もこのような調査・公開手法が有効であることを確認することができた。 3)また、古生物学関連の論文で記載された証拠標本の調査を行うために、文献データベースの構築を進めているが、平成29年度は、ほぼ計画通りにデータ入力を進めることができた。 4)本研究では、様々な博物館において標本キュレーティング活動を共同で行い、それをケーススタディに古生物標本の整備方法の確立を目指している。平成29年度は、北海道北見市・北網圏北見文化センターにおいて、「古生物標本取扱講習会」を開催するなど、標本キュレーティングに関する支援や研究を行うことができ、今後も継続的して共同で研究を進めていく体制を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降も、基本的にはこれまでの研究計画を継続して進める。 1)国内の博物館等における古生物標本の所蔵状況について実地調査を行う。実施する機関は、標本情報の目録・データベース化状況にもよるが、特に限定せずに実施可能なところから進める。 2)その上で、標本データの収録は、収蔵機関からデータを提供された段階で適宜行っていく計画である。 3)また並行して、標本台帳や目録などの紙媒体のデジタル・データベース化や、そこに記載された標本の所蔵調査を進める。 4)日本の古生物学に関する文献情報について、引き続きデータベース入力を進める。また、これらの文献情報をもとに、標本の記載・図示箇所に関するチェックリスト・データベースの整備を進める。 5)標本キュレーティングの支援や共同研究については、平成30年度は、京都大学総合博物館、北海道北見市北網圏北見文化センターの他、山口県美祢市歴史民俗資料館・化石館等に重点を置いて進める計画である。
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