研究課題/領域番号 |
15H02958
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓助 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (60145662)
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研究分担者 |
佐々木 明彦 信州大学, 理学部, 研究員 (20608848)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 山岳地域 / 降積雪深 |
研究実績の概要 |
1.上高地地域の複数地点で、積雪の雪氷化学的調査を実施した。それぞれの調査時期は、積雪表面での融雪による融雪水の流下が始まる前で、かつ、できるだけ積雪深が深い時期を地点ごとに検討して決めた。調査方法は、まず、積雪を地面まで掘削し、垂直な掘削面を平滑にした後に、3cmごとに雪温を測定し、雪結晶の粒径や雪質から層位を判定した。次いで、3cm深ごとに雪の密度を測定し、同じ深度ごとに雪試料を採取した。採取した雪試料は、融解させずに信州大学の実験室に運んだ。分析前に融解し、濾過後に電気伝導度とpHを測定し、イオンクロマトグラフにより主要イオン濃度及び酸素・水素の安定同位体比を測定した。 2.穂高連峰涸沢の谷底部において、GPSの連続キネマティック測位による積雪深分布測量を実施した。ふたつの受信機を使う干渉測位が最も精度が良く、数mm単位での計測も可能であると言われている。干渉測位のひとつである連続キネマティック測位は、基準点に基準局となる受信機を設置し、もうひとつの受信機を移動させながら連続で計測していく方法である。受信機の移動を雪面上で縦横に行うことにより3次元位置座標を測量した。これと地表面の標高データとの差分から積雪深分布図を作成した。さらに、積雪深と積雪密度から積雪水量に変換し、積雪水量分布図を作成した。 3.上高地梓川流域における連続的な降積雪深測定のため、自動降積雪深計による連続観測を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画について、概ね順調に調査を行うことができるとともに、採取試料の分析や取得データの解析作業も問題なく実施している。さらに、研究成果についての学会発表等も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1.積雪の雪氷化学的調査による雪試料について、主要イオン濃度及び安定同位体比の測定を継続して実施していき、自動降積雪深計の観測結果と合わせて降積雪深分布を検討していく。 2.これまでに得られた研究成果について学会等での発表を行い、関連研究者との議論により、問題点や改善すべき点の洗い出しを行っていく。並行して投稿論文の作成も行っていく。
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