研究課題
地震多発国の一つであるフィリピンを対象に,将来発生する地震の発生場所・規模の予測精度の向上を目的として、IfSAR(干渉合成開口レーダー)より新たに得られた5m間隔の数値標高モデル(DEM: Digital Elevation Model)をもとに立体視可能な地形画像を作成し,これを高精度で判読することによって,活断層,海成段丘,地すべり地形などの包括的な変動地形学図を作成した。初年度の研究成果は、下記の通りである。1)PHIVOLCSの研究協力者との実施計画の検討・調整を行うためにPHIVOLCS(フィリピン火山地震研究所)に赴き,フィリピン全土のアナグリフ画像とオルソ画像を作成した。 2)ミンダナオ島およびビサヤス地方などのフィリピン南部地域(約15万平方km)の画像立体視判読により活断層を認定し、詳細な活断層分布図を作成した。3)フィリピンの研究協力者を日本(京都大学)に招聘し、活断層分布図判読結果のクロスチェックを行った。これを通して地形判読技術の移転を図った。4)DEM画像立体視判読による海成段丘および大規模地すべりを認定し、これらの予察分布図を作成した。ミンダナオ島では,北西-南東~北北西-南南東走向の左横ずれ断層,南北走向を持つ逆断層,東西走向の正断層,北東-南西走向の右横ずれ断層が発達することが確認された。島の中部から西部にかけて広がる火山地域には明瞭な正断層が密集して発達し,沖積面を変位させる断層もあり,累積的断層運動が確認される。西部のザンボアンガ半島には,半島の方向と調和的な走向を持つ右横ずれ断層が集中的に確認できる。このような状況から,ミンダナオ島は東西性の圧縮場のもとで,広い範囲にわたって活断層変位が原因となる大地震が繰り返し発生してきたことが明らかになった。また、ビサヤス地域においても、フィリピン断層が通過するレイテ島をはじめとする島々で、数多くの活断層を新たに認定した。
2: おおむね順調に進展している
DEMの収集、アナグリフ画像の作成が順調にすすみ、PHIVOLCSとの緊密な連携が保たれているため。
地震関連地形の判読を継続し、詳細な活断層分布図などを着実に作成する。また、PHIVOLCSの連携研究者との意見交換を密にして、情報の活用を図る。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Journal of Disaster Research
巻: 10 ページ: 91-98
10.20965/jdr.2015.p0091
巻: 10 ページ: 74-82
10.20965/jdr.2015.p0074
巻: 10 ページ: 83-90
10.20965/jdr.2015.p0083