研究課題
本研究では,詳細DEMから自作したアナグリフ画像の判読をもとに,PHIVOLCS(フィリピン火山地震研究所)の研究者とともに高い精度と信頼度を持つ活断層と海成段丘の分布図を作成した.本年度は,研究代表者および研究分担者の地震関連地形判読結果とPHIVOLCSの研究者の判読結果について,最終的なクロスチェック作業を行った.活断層の長さ・分岐形状・断層変位地形の明確さなどにもとづいて活断層の一括活動範囲を推定し,そこから発生する地震規模を推定した.また,海岸段丘のマッピングと表式地域であるボホール島南部においてフィールド調査を行い,最終間氷期に形成されたMIS5e段丘を認定し,これを基準にして段丘の広域的対比を行った.さらに,旧汀線高度の地域的な変化から海岸部の長期にわたる隆起・沈降傾向を把握するとともに,その原因となった海底活断層から発生する地震について検討した.これらの地震関連地形の情報をもとに大地震発生ポテンシャルの検討を行い,フィリピン群島でM7クラス以上の地震の発生ポテンシャルが相対的に高い地域として次の8つの地域を認定し,それぞれの特徴について検討を行った.1)フィリピン断層沿いの地域,2)ルソン島北部コルディレーラ山地とその北に位置する島々を含む地域,3)ルソン島中部からミンドロ島を含む地域,4)ルソン島中部のボリナオ半島の周辺やルバング島北部やミンドロ島南部,パナイ島南東部地域,5)シブヤン海諸島地域,6)ビサヤス諸島西部,7)ミンダナオ島中部,8)ミンダナオ島西部.本研究を通してフィリピン人研究者の地震関連地形の判読技術の向上に努め,発展途上国における地震防災の基礎資料整備のモデルとすることができた.今後,この成果をPHIVOLCSのWeb siteで公開する予定であり,地震災害の軽減に貢献できると考えている.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Tectonophysics
巻: 699 ページ: 244~257
10.1016/j.tecto.2017.02.001
Geoscience Letters
巻: 4
10.1186/s40562-017-0078-3