研究課題/領域番号 |
15H02963
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
森永 由紀 明治大学, 商学部, 専任教授 (20200438)
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研究分担者 |
高槻 成紀 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (00124595)
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
河合 隆行 鳥取大学, 乾燥地研究センター, その他 (20437536)
石井 智美 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (50320544)
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70211373)
上村 明 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (90376830)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 馬乳酒 / モンゴル / 遊牧 / 伝統知 / 発酵食品 / Non Cow Milk / 文化遺産 / 自然保護 |
研究実績の概要 |
1)アイラグ製造に用いる牝ウマの行動について: 馬乳酒の名産地であるモンゴルのボルガン県モゴド郡で、同一群の3頭のウマの位置を1分間隔で追跡し、春から夏(2013年6月25日~7月15日:春営地滞在中)と夏から秋(2013年7月16日~9月21日:夏営地滞在中)の2つの期間について、搾乳時間帯(日中)と非搾乳時間帯(夕方から朝)の移動距離、搾乳地点からの最大直線距離、行動圏面積を比較した。1日の搾乳時間は、最短で7.46時間、最長で15.47時間であった。搾乳時間帯には、仔馬はゲルのそばに紐でつながれ、牝ウマはそばで採食しながら過ごし、平均1.7時間おきに集められて搾乳される。1日の搾乳回数は4.6±0.2回であった。移動距離と行動圏面積は搾乳時間帯よりも非搾乳時間帯で著しく大きかった。(Batoyun et al.,2017)
2)アイラグの名産地であるモゴド郡における家畜(ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ)の食性: 当地方の代表的な谷とオルホン河畔の2箇所において非反芻獣で大型のウマ、反芻獣で大型のウシ、反芻獣で小型のヤギ・ヒツジという3タイプの家畜の食性を糞分析によって調べた。ウマは典型的なgrazerで、その糞は特にcarexを30-40%前後も含み、graminoids全体的で50-70%を占め、culmを合わせれば95%以上に達した。ウシ糞でもgraminoidsが大半を占めたが、stipaが20-40%前後とウマより多かった。ヒツジ・ヤギ糞ではStipaが30%前後、culmが40%前後であった。ウマは場所による違いが小さく、ウシが場所による違いが大きかった。このように、環境よりも家畜のタイプによって食性が違うこと、それには家畜の大きさ、消化生理、放牧パターンが影響している可能性を指摘した。(投稿準備中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
良質なアイラグの発酵に関与する菌はモンゴル国にとっては重要な資源であるため、菌に関連する研究はモンゴル国内で実施すべきと判断した。それにより、日本にアイラグを持ち帰って菌の研究を行うことを見合わせたため。
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今後の研究の推進方策 |
1)アイラグの発酵に関与する菌の研究を、モンゴル国内で実施する道筋をつける。
2)2018年中には、モゴド郡の博物館がリニューアルされる。モゴド郡はアイラグの名産地として名高いにも関わらず、博物館にはアイラグの展示はほとんど無い。2018年3月にモゴド郡にて、郡長および博物館長に、本プロジェクトの成果を用いて、アイラグの展示コーナーを作ることを申し出て、受け入れられた。よって、今後は、本研究の成果をまとめるとともに、アイラグの概要がわかるような展示物を作成していく。
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