研究課題
1) モンゴル国のアイラグの品質と成分との関連を調べるため2016年8月に名産地モゴド郡にてアイラグ品評会を開催し,アイラグの電気伝導度(EC)と評価点との間に関連性を見出した。中央部各地で採取した試料では、アイラグのECは馬乳のECよりも高く,ばらつきが大きい。また、アイラグと馬乳のECの差は7月の平均気温と正の相関関係を示す。首都で市販されているアイラグと自家製のアイラグの成分を比べ,自家製のアイラグはECと酸度が低く,かつアルコール濃度が高いことを見出した。2) モゴド郡のN氏宅で2013年から2017年まで実施したウマのGPS追跡の結果を解析した。搾乳期間である夏には、日中に仔ウマたちをゲルの前に繋ぎ、傍に寄り添う母ウマから日に数回搾乳し、夜間は母子を草原に放す日帰り放牧が実施されていた。2013年夏の1日の行動圏半径は平均3.2 kmで、6月末から8月中旬頃までは川沿い、9月中旬までは丘の上が中心だった。放牧中の母子間の距離は子ウマの成長とともに広がり、6月末は100 m以内だったが8月末には1000 mを超えることもあった。隣接した遊牧民が所有するウマの行動圏は隣接したが、どの季節も行動圏の重複率は小さかった。アイラグ製造用のウマの群れは、きわめて自由度の高い方法で飼養されていた。良質の植生環境の効率的な利用の観点だけでなく、母子間の関係も良好に保たれているようであり、家畜福祉の観点からも興味深い。3) モゴド郡の博物館においてアイラグ展示コーナーの作成に着手した。4) 首都ウランバートルで開催されたInternational Altay Symposium-VIIにおいて、初日の2018年8月6日にThe Fermented Mare’s Milk in Mongolia というパネルのリーダーを森永が務め、海外の研究協力者らとともに4つの発表を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (2件)
地理
巻: 63 ページ: 36,43
科学
巻: 89 ページ: 304,306
Journal of Mammalogy
巻: 99 ページ: 450~458
10.1093/jmammal/gyx182