研究課題
本年度の研究は以下の3点を中心に実施した。1. 小地域指標の方法論的検討:居住地域の剥奪指標(Areal deprivation index)やWalkability指標については、WebGISを利用した公開利用の試験的運用を実施した他、国勢調査等の小地域統計の国際比較に関する研究を実施した。さらに、既存の調査データや各種収集した小地域統計のリンケージ処理を進めるとともに,小地域別の人口マイクロデータを生成する手法に関する精度検証と全国版データの構築を行った.2. 社会調査の実施:首都圏に居住し過去5年以内に居住地域を変更した人を主たる対象とし、健康および居住環境の評価を問う社会調査を実施した。ただし、居住地移動に伴う健康の地理的格差の形成を評価するために、設問数は限られるが居住地移動を伴わない層を対象とした調査もあわせて実施した。調査実施に先立って「立命館大学における人を対象とする研究倫理審査委員会」による承認を得た(衣笠-人-2016-53)。3. 地理的健康格差の動態解析の企画と遂行:3都市における高齢者2700人を対象に実施したパネル調査のデータ(2010年、2015年)にGISを用いた居住地域環境指標(walkability index)を結合し、居住地域環境が5年間の身体活動の変化に与える影響を検討した。その結果、walkabilityの高い地域ほど身体活動の減少が少ないとの知見を得た。また、がん登録データ及び人口動態統計データに、地理的剥奪指標を付与して、がんおよび主要死因における罹患率・死亡率の社会経済格差の動向を検討した。
2: おおむね順調に進展している
全体の研究集会を1回開催し、全体的な方向性の確認を行った。計画通り社会調査の企画・実施を進め、大都市圏内の居住者に対して居住地移動の詳細とともに近隣環境評価に関する基礎的な資料を得た。また、地理的指標を付与したパネルデータの分析が進むなど、動的な側面に着目した近隣環境と健康の関係を問う研究が進められている。研究成果を総括する出版物の企画が課題となっているが、個別の成果発表については順調に研究成果が蓄積されつつある。
独自の社会調査によって得た新たな情報や既存の統計資料を加工して作成した地理的統計指標に基づく最終的な分析計画の方針を確認し、論文等による研究発表や出版成果物についての方向性を確かめる。とくに、出版企画やシンポジウム企画等に基づく残りの2年にわたる研究期間内での成果物の発信方法について、議論を進める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 7件、 招待講演 8件)
Geriatrics & Gerontology International
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/ggi.13004
立命館文学
巻: 650 ページ: 283~297
巻: 650 ページ: 263~282
10.1111/ggi.12995
巻: 650 ページ: 298~412
社会学年誌
巻: 58 ページ: 41~57
貧困研究
巻: 16 ページ: 5~16
体育の科学
巻: 66 ページ: 805~810
Scientific Reports
巻: 6 ページ: -
10.1038/srep39151
日本公衆衛生雑誌
巻: 63 ページ: 549~559
10.11236/jph.63.9_549
地域安全学会論文集
巻: 29 ページ: 247~255
Journal of Epidemiology
巻: 26 ページ: 579~586
10.2188/jea.JE20150257
巻: 63 ページ: 126~134
10.11236/jph.63.3_126
SSM - Population Health
巻: 2 ページ: 662~673
10.1016/j.ssmph.2016.09.002