研究課題
(1)氾濫流の発生場での水難事故発生の危険性について、縮尺1/10の人体模型を用いた水理実験を行った。立位、座位といった姿勢での人体模型に作用する抗力を求め,それと静止摩擦力の釣り合いから,氾濫時に人が流されて水難事故に遭遇する危険度を考察した。その結果、座位姿勢では、抗力の増加に加えて、浮力も増大し、立位姿勢よりもはるかに流されやすいことが分かった。また着衣状態のときは非着衣状態に比べて抗力が増大することも明らかとなった。着衣の座位姿勢では、成人男性であっても、水深が0.4m、流速が0.9m/s程度でも流される危険性がある。(2)大阪梅田地区を対象として内水氾濫解析、地下浸水解析を実施するとともに、モニタリング手法や止水板対策について考察した。降雨規模別のモニタリング手法(「流入後」「監視カメラ」「水位計」)別の地下街への流入量を比較した結果、降雨規模が同じ場合、モニタリング手法別の地下街への流入量に大差はみられなかった。一方で、降雨規模が大きい場合、現状の止水板の高さ0.5mでは、止水板を越流して氾濫水が地下街へ流入するため、単に初期行動だけを早める対策では不十分であることが明らかとなった.(3)大阪梅田地区で内水氾濫が発生した際に、その地区から地下鉄を伝播して、氾濫流が拡散する事象を解析した。車両の運行停止に伴う浸水被害の検討結果から、20%以上の電車が浸水する駅に停車する可能性があることが分かり、車両を速やかに移動させなければ、車両自体が浸水する危険性が明らかとなった。また、トンネル坑口に防水扉を設けることができれば、復旧までの時間が半減できる可能性があることが分かった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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