研究課題/領域番号 |
15H02984
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
外山 茂浩 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (60342507)
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研究分担者 |
池田 富士雄 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30353337)
工藤 慈 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (60756584)
上村 健二 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (80708090)
宮崎 敏昌 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90321413)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 安全工学 / 小型船舶 / 事故 / 疲労 / ヒューマンエラー |
研究実績の概要 |
(1)頸部浅層筋・筋電位を用いた前庭電気刺激の定量化 前庭電気刺激とは、ヒトの内耳に存在し直線加速度を検知する受容器である前庭に電気刺激を行うことにより、加速度が加わったときと同様の作用を生み出すというものである。両耳の裏に電極を装着し直流電流を印加することで、陰極から陽極向きの加速度を提示できる。操船支援として操縦者に提示するためには、刺激電流と提示加速度の関係を求める必要があるが、被験者に提示される横加速度を直接測定することはできない。そこで、刺激電流と被験者の頸部浅層筋・筋電位の関係,被験者頭部への荷重とその頸部浅層筋・筋電位の関係から,刺激電流とそれにより提示される横加速度の関係を実験により求めた。その結果,従来不確かであった微小電流印加時の提示加速度特性を精度良く評価できることを明らかにした。 (2)視覚刺激提示システムの開発 視覚刺激によって被験者にどの程度の平衡感覚を提示できるか、そのベクション効果の定量化を狙った基礎実験を行った。縦縞模様を水平方向に移動させることで被験者の視覚を刺激するソフトウェアとそのディスプレイ環境を構築し、視覚刺激によって提示された平衡感覚を明らかにした。そして、縦縞模様を表示するアンドロイドプログラムを開発し、スマートグラスに実装することで、操船支援のための視覚刺激提示システムを構築した。 (3)体性感覚を刺激するパラレルリンクメカニズムの開発 操船者足部に体性感覚刺激を行うデルタ型パラレルリンクメカニズムとその制御系を開発し、位置決め精度の評価実験を行った。実験結果より、動作時に誤差が発生しており、高い位置決め精度が得られていないことが明らかになった。種々の実験を通してその要因がリンク間を接続するロッドエンドベアリングにより生じるあそびにあることを確認し、良好な位置決め精度を得るための改善策を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、前庭電気刺激や視覚刺激によって仮想提示される平衡感覚の基礎特性評価は完了した。前庭電気刺激や視覚刺激を用いた操船支援システムの開発、体性感覚を刺激するデルタ型パラレルリンクロボットの開発も順調に進展している。以上の進捗状況から、現在までの達成度として「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)スカイフックキャビンの仮想実現による操船者の疲労軽減効果の検証 操船シミュレータによる模擬実験において,視線計測カメラや脈波解析装置等を用いて操船者の生体信号を定量的に評価して,スカイフックキャビンの仮想実現による操船者の疲労軽減効果を明らかにする。 (2)前庭電気刺激等を用いた操船支援情報仮想提示システムによる操作性回復効果の検証 仮想実現されたスカイフックキャビンにおいて、横加速度等の有益な船体運動情報を操船者に前庭電気刺激で提示した場合の操作性を定量的に評価し、本来の操作性の回復効果を明らかにする。それと並行して、視覚刺激を用いた平衡感覚提示、パラレルリンクメカニズムを用いた体性感覚刺激との統合による操船支援情報仮想提示システムを構築し、操作性回復効果の検証を行う。
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