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2015 年度 実績報告書

超高密度観測記録に基づく地盤及び構造物の地震時挙動の確率論的同定手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15H02990
研究機関東京工業大学

研究代表者

盛川 仁  東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (60273463)

研究分担者 宮本 崇  山梨大学, 総合研究部, 助教 (30637989)
後藤 浩之  京都大学, 防災研究所, 准教授 (70452323)
飯山 かほり  東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 研究員 (90711870)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード超高密度地震観測 / 地震応答 / 相関関数 / 伝達関数 / パワースペクトル
研究実績の概要

これまで十分な検討が行われてこなかった微動アレー観測手法の高効率化に着手した。アレー観測においてもっとも手間を要するのは,観測点の位置の選定と実際にその位置を現場で同定する作業であり,アレーサイズが大きくなるほどこの問題が顕在化し,解決が困難となる。このような問題を軽減しようとするのが平成27年度の目標であった。H27年度には,従来のように円形(または三角形)アレーでなくても直線アレーでも十分な精度で位相速度を推定可能とするための手法の理論について,その理論的背景の精緻化と数値
シミュレーションによる検証を行った。その結果,微動が一方向からのみ到来しているという極めて特異な条件下でなければ,十分な精度で位相速度を推定することができることを確認した。しかし,従来のような円形アレーなどのように平面的な広がりを持つアレー形状に比較して,同じサイズの直線アレーでは位相速度を推定可能な周波数レンジが狭くなる傾向があることも明らかとなった。

一方,構造物の動的性質の同定については,地盤と構造物の相互作用の影響を考慮すると,構造物への入力波形波形に関する情報を一切必要としない手法が強く望まれている。そこでH27年度には,相互スペクトル比を用いることでモード形状を入力波形に依存することなく精度よく決定できる手法を開発した。この手法により,従来の手法では入力震動について必要であった仮定や波形を必要とせず,観測記録のみでモード形状を推定できる。数値計算によりその手法の妥当性を確認し,実構造物への適用可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では,微動アレー観測の高効率化のための理論的手法の精緻化を行い,数値計算によってその妥当性検証することとしていたが,その目標は十分に達成されている。

一方,構造物の地震応答のモデル化に関する研究については,観測に要するセンサーの低コスト化と安定性を確認するために実際の観測システムにセンサーを追加してその性能を評価すると共に,構造物の動的性質の同定を行うにあたって入力震動に関する情報を必要とすることなく構造要素間の伝達関数を同定する手法の開発に着手することを目標としている。観測システムについては,新しいセンサーが完成していないため実際の構造物において運用するには至っていないが,その間に構造物の伝達関数を同定する手法の開発に注力し,新しい手法の理論的背景を明らかにすることに成功した。当初は,H27年度中に手法の開発に着手し,ある程度の時間をかけて開発することを想定していたが,手法の開発にはやくも目処がついたことになり,実際の観測の準備の遅れを相殺するに十分な成果が得られている。

今後の研究の推進方策

H27年度に構築した理論を実データを用いて検証することがH28年度から2年程度の目標である。微動アレー観測については,直線アレーだけでなく任意形状のアレーにも適用可能となるよう理論の拡張を行った上で実際に地盤構造が明らかな場所での観測をおこなって理論の適用性を検証する。一方,構造物の応答特性については,構造要素間の伝達特性の推定手法において減衰特性を十分な精度で同定できないことが明らかとなってきている。そのため,まず,減衰特性を精度よく同定するための手法を検討する。また実際の構造物で観測された記録を新たに開発された手法を用いて解析し,手法の妥当性について検証する。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A new signicance on the vertical component ratio of the power spectra between two sites in the application of array methods2016

    • 著者名/発表者名
      Zhang, X.R. and Morikawa, H.
    • 雑誌名

      Journal of Seismology

      巻: Vol.20,No.1 ページ: 185-196

    • DOI

      10.1007/s10950-015-9519-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 常時微動観測と臨時余震観測による福島県浪江町市街地の地盤震動特性評価2016

    • 著者名/発表者名
      後藤浩之,羽田浩二,澤田純男,吉田望,大内徹
    • 雑誌名

      日本地震工学会論文

      巻: Vol.16,No.1 ページ: 309-321

    • DOI

      org/10.5610/jaee.16.1_309

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Jensen-Shannon divergenceを用いた構造物の非線形応答値に基づく地震動波形の集合のクラスタリング2016

    • 著者名/発表者名
      宮本崇,本田利器
    • 雑誌名

      日本地震工学会論文集

      巻: Vol.16 ページ: 3_41-3_52

    • DOI

      http://doi.org/10.5610/jaee.16.3_41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 総合地震シミュレータ(IES) の仮想構築モデルに導入するMSS モデルに関する基礎研究2015

    • 著者名/発表者名
      細政貴・飯山かほり・石田孝徳・藤田航平・山崎義弘・市村強・Wijerathne Lalith・盛川仁・堀宗朗・山田哲・坂田弘安・山中浩明・廣瀬壮一
    • 雑誌名

      日本地震工学会論文集

      巻: Vol. 15,No. 7 ページ: 7_295-7_305

    • DOI

      10.5610/jaee.15.7 295

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Identification of dynamic characteristics of a historical church in Armenia using microtremor survey technique2015

    • 著者名/発表者名
      Iiyama, K., Morikawa, H., Sasano, S., Motoyui, S., Fujita, Y., and Mutoh, A.
    • 雑誌名

      Applied Mechanics and Materials

      巻: Vol. 802 ページ: 71-76

    • DOI

      10.4028/www.scientic.net/AMM.802.71

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 大阪地域の表層地盤モデルを用いた揺れやすさマップの作成2015

    • 著者名/発表者名
      平井俊之,堤杏紗,大島昭彦,新井瞬,濱田晃之,北田奈緒子,後藤浩之,河井克之,中嶋勲雄
    • 雑誌名

      Kansai Geo-Symposium 2015 論文集

      巻: 9999 ページ: 203-208

  • [雑誌論文] Identification of incident and site-to-site factors for ground motion2015

    • 著者名/発表者名
      Sayaka Kimura, Hiroyuki Goto, Hitoshi Morikawa, and Sumio Sawada
    • 雑誌名

      Proc. 6th International Conference on Earthquake Geotechnical Engineering

      巻: No.378 ページ: 1-7

  • [雑誌論文] JS divergenceを用いた地震動波形のクラスタリング手法のスペクトル適合波への適用性2015

    • 著者名/発表者名
      宮本崇,本田利器
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1(構造・地震工学)

      巻: Vol.71 ページ: I_799-I_806

    • DOI

      http://doi.org/10.2208/jscejseee.71.I_799

    • 査読あり
  • [学会発表] Very dense seismic array observation in Furukawa, Japan: spatial variation of earthquake ground motion2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Goto, Masayuki Inatani, Sayaka Kimura, Hitoshi Morikawa, and Sumio Sawada
    • 学会等名
      the 28th KKHTCNN Symposium on Civil Engineering, 2015
    • 発表場所
      上海
    • 年月日
      2015-11-16 – 2015-11-18
    • 国際学会
  • [学会発表] 空間統計モデルを用いた微動H/Vスペクトル比ピーク周期のモデル化の試み2015

    • 著者名/発表者名
      後藤浩之,盛川仁,飯山かほり
    • 学会等名
      日本地震学会2015年秋季大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2015-10-26 – 2015-10-28
  • [学会発表] 3次元非線形地盤震動解析を用いた堆積層における地盤ひずみの集中効果の検証2015

    • 著者名/発表者名
      入原渉
    • 学会等名
      第35回地震工学研究発表会
    • 発表場所
      東京大学生産研究所
    • 年月日
      2015-10-07
  • [学会発表] 大崎市古川地区の浅層地盤構造をターゲットとした超高密度常時微動観測2015

    • 著者名/発表者名
      後藤浩之,稲谷昌之,羽田浩二,澤田純男,盛川仁
    • 学会等名
      日本自然災害学会平成27年度年次講演会
    • 発表場所
      山口市
    • 年月日
      2015-09-24 – 2015-09-25
  • [学会発表] 微動のアレー観測記録を用いた大崎市古川地区における表層地盤構造の推定2015

    • 著者名/発表者名
      盛川仁・満永仁志・飯山かほり・後藤浩之・稲谷昌之・羽田浩二・池田貴昭・高屋俊康・木村紗也佳・秋山良平・澤田純男
    • 学会等名
      土木学会第70 回年次学術講演会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-18
  • [学会発表] 建物物性値の不確定性が応答に及ぼす影響の評価手法に関する研究2015

    • 著者名/発表者名
      飯山かほり・細政貴・盛川仁・廣瀬壮一・藤田航平・市村強
    • 学会等名
      土木学会第70 回年次学術講演会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-18
  • [学会発表] 甲府盆地の3次元地盤構造モデルの構築と地盤震動解析2015

    • 著者名/発表者名
      入原渉
    • 学会等名
      土木学会第70回年次学術講演会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-09-16
  • [学会発表] JS divergenceに基づく地震波クラスタリング手法の実観測記録への適用性の検証2015

    • 著者名/発表者名
      宮本崇
    • 学会等名
      第18回応用力学シンポジウム
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2015-05-16
  • [備考] 大崎市高密度地震観測プロジェクト

    • URL

      http://sn.catfish.dpri.kyoto-u.ac.jp/

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公開日: 2017-01-06  

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