研究課題/領域番号 |
15H02997
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
園田 潤 仙台高等専門学校, 知能エレクトロニクス工学科, 教授 (30290696)
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研究分担者 |
渡邉 学 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 研究員 (10371147)
米澤 千夏 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60404844)
金澤 靖 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50214432)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大規模自然災害 / 捜索手法 / 地中レーダ / 人工衛星搭載レーダ / 航空機搭載レーダ / UAV / FDTD法 / GPU |
研究実績の概要 |
東日本大震災等の大規模自然災害における行方不明者等を効率的に捜索することを目的に,航空機・人工衛星搭載レーダを用いた上空からの広域地中探査と,広域地中探査で物体が沈下している可能性が高いところを地中レーダで精査する複合レーダ技術による手法を提案し実証実験で検証した。 平成27年度は,東日本大震災で大きな被害を受け現在でも40名の行方不明者がいる宮城県名取市閖上において,以下の提案手法の実証実験を実施するとともに,ボランティア団体とともに捜索活動を実施した。 (1) JAXAの航空機搭載レーダPi-SAR-L2からの物体検出特性を実験するために,コーナーリフレクタを地中に埋設し,地表に設置した場合との後方散乱係数を比較した。この結果,地表と地上で5dB/m2の差で観測されることを定量的に示した。また,地中レーダによる物体検出の評価として,地中レーダの観測画像を画像処理プロセッサGPUを用いて高速にシミュレーションするFDTD法を開発し,砂場やコンクリートに空洞を設定する模擬実験と比較した結果,FDTDシミュレーションは実験とよく一致することを示した。 (2) 上空からの航空機・人工衛星搭載レーダで得られる観測画像から地表面物体による反射波を除去する手法として,小型無人機UAVを観測範囲上空を飛ばし,可視光画像からSfM技術により地表面形状を復元し,レーダ画像とUAV画像との比較による地表面物体抽出手法を開発した。 (3) (1)(2)の成果を,捜索活動を支援するボランティア団体に提供するとともに,地中レーダを使った捜索手法を開発した。この結果,延べ463名のボランティアが捜索活動に参加し,4839m2の領域を捜索した結果,24,883個の地中物体を掘り出し,レーダによる検出確率は84%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度に実施予定であったUAVを用いた地表面形状復元とレーダ画像の比較による地表面物体の除去手法を平成27年度に前倒しで実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下を実施する予定である。 (1) 上空からのレーダによる地中物体検出特性の実験的・理論的検証 (2) 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県名取市閖上における不明者捜索への適用 (3) 地震による土砂災害や噴火による火山灰等による大規模災害への適用 (4) 自律型レーダ装置の開発 (5) SfM技術を適用した水中ドローンを用いた水中捜索への応用
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