研究課題
細胞の収縮力を従来法(蛍光マイクロビーズ法、マイクロピラー法)よりも圧倒的に高いスループット(測定効率)で定量評価することができる技術の開発を目的として取り組んだ。弾性材料に薄膜を形成し、細胞親和性を与えて細胞培養が可能なチャンバーを作製した。様々な種類の細胞を用いた条件出し(薄膜の弾性定数や厚さをパラメーターとして調整)のもと、薄膜の微小変形(薄膜のシワ)を可視化できるようにした。薄膜に負荷される力とシワの長さに正の相関があることを確認した。また、取得画像から細胞の輪郭とシワを区別して、シワの長さを自動抽出できる解析アルゴリズムを構築した。また、顕微鏡に自動移動ステージを構築して多点撮影を可能にした。以上により、一度の細胞培養で、複数の細胞に対して、細胞からの力の負荷に伴い培養基質薄膜に生じるシワの長さを自動測定し、それに基づいて細胞の収縮力の変化を定量評価できるシステムを構築した。これにより、例えば蛍光マイクロビーズ法のように基質変形を計測するための参照画像の取得を必要としないなど、従来法とは異なる特徴があり、一度の実験で膨大数のデータを取得することができるようになった。その実証実験をいくつか実施し、例えば非筋II型ミオシンの変異に伴う細胞収縮力の変化の評価を行い、国際誌等や会議において成果発表を行った。また、この細胞収縮力評価用チャンバーを小型化して96ウェルプレートの1ウェル内に収納し、形状に規格のあるマルチウェルプレートを対象とした他の測定機器と互換性をもたせた。これにより、ハイスループットで個々の細胞による力の発生に関与する分子の同定を可能にする技術の基礎を構築し、力に関するオミックス、すなわちメカノミクスと名付けられる分野の開拓につながる成果を得るに至った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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