研究課題
本研究課題の目的は、生体内に存在する特定の細胞の特異的ニッチ機構の解明を通じ、生体内と同じ機能をもつ血小板を高効率で放出産生させる“巨核球成熟・血小板放出システム”の構築である。前年まで、物理刺激、特に従来から想定されているshear stress刺激によって放出されるエクソゾーム由来のmiRNAが巨核球に働きかけて、巨核球のリモデリングを通じて成熟を促進するとの仮説に基づく検証研究を実施した。しかしながら、miRNAは細胞増殖期の単核巨核球の機能には関与する証拠が得られたが、成熟期の多核巨核球への関与を明らかにできかった。そこで平成29年度は前年度までの観察結果である、血小板産生の親細胞である巨核球が生体骨髄の血管外から血管内に細胞質を出し、血流刺激下に血小板を産生する画像を、特殊なベクトル解析によってさらに詳細に再検証した。その結果、血小板産生イベントが持続的に観察される骨髄巨核球の細胞壁に対しては血流中に乱流が起きていることを見出した。この新たな知見を実証するため新規モデルの培養槽を準備し、乱流概念中のどの物理パラメーターによって、巨核球のリモデリングが制御され、血小板産生が促進されるかのメカニズムの一端を明らかにした(論文投稿中)。この結果、8Lスケールの培養槽を用いることで1000億個の血小板を産生可能な条件を見出すことに成功した。これらの研究成果は、乱流刺激が制御する血小板産生機構解明という新規の研究領域を創出し、次期基盤研究推進のための新規の提案を行うことに繋がった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 産業財産権 (3件)
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