研究課題
当課題において開発した連続フロー型準完全偏極キセノン製造装置を用いて独自の超偏極129Xe (HPXe) MRI肺機能診断法を開発し、肺癌マウスモデルの肺機能変化をモニターする評価系を構築することに成功した。一方、肺癌の発症・進行には傷害関連分子パターン分子の1つであるHMGB1 (High Mobility Group Box 1) が関与していると報告されている。他方、ピルビン酸エチル(EP) は、HMGB1の分泌を阻害することが分かっている。以上のことから、マウスに発癌誘発剤であるウレタンを投与した1か月後からEPを投与し、EPの肺癌モデルマウスに対する治療効果の評価を行った。その結果、治療効果は確認できたものの、その効果は完全なものではなかった。そこで本年度は、肺癌マウスモデルにEPを予防的に投与することで、更なる治療効果が得られると推測し、HPXe MRIによる肺機能診断を用いて観察を行った。実験では、ウレタンを腹腔内投与し、投与直後からEPを4ヶ月に渡って気管内投与し(5日/週)、EP予防群とした。ウレタン投与直前を含め1ヶ月ごとにHPXe MR肺機能診断を行い、ガス交換能(fD(%))を評価した。その結果、EP予防群のfDはウレタン投与後1ヶ月時に健常群と比較して有意に低下したものの、2ヶ月時には1ヶ月時と比較して有意な高値を示し、この回復は以降4か月時点まで継続した。一方、肺癌群では、1か月時点でfDは健常群と比較して有意に低下し、この低下は観察期間中継続した。また、解剖の結果、EP予防群の腫瘍数は、病態群と比較し有意に減少し(3個 vs 11個)、最大腫瘍径は有意に縮小した(2.2mm vs 3.4mm)。以上のことから、EPは肺癌の予防的治療に有効であることを明らかとした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Stem Cells Int.
巻: 2019 ページ: 5179172
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