研究課題/領域番号 |
15H03007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 正治 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (30304744)
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研究分担者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学研究院, 教授 (90198664)
河野 喬仁 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任助教 (90526831)
濱野 展人 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 特任助教 (80708397)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ材料 / DDS / 膵がん |
研究実績の概要 |
本研究ではMethanococcusjannaschiiに由来するHsp16.5が自己組織化によって形成するナノ構造体に着目し、その機能化を目的としている。この構造体は内孔(径10nm)を有する球状構造(24量体、外径15nm)を構築することが知られている。X線結晶構造解析の結果、このタンパク質のC末端はカプセルの外表面に露出していることが明らかとなっており、この領域に標的に対するアンテナ分子を組み込むことが可能である。 そこで本研究では、このC末端に様々なアンテナ分子を組み込み、様々な癌に対する特性を付与する。その一つは多くの臨床膵癌において高発現しているNeuropilin-1に特異性を有するiRGDペプチド(CRGDKGPDC)である。遺伝子組み換えによってC末端領域にiRGD遺伝子を組み込み、大腸菌から大量発現する。クロマトグラフィーによって精製し、動的光散乱法(DLC)と透過型電子顕微鏡(TEM)観察、あるいは質量分析法等によって詳細に物性評価した。 膵がん細胞特異性の評価については、K-ras、p53そしてCreに遺伝子変異を加えた自然発生型のマウス膵がんモデル(KPCマウス)およびその原発巣から樹立した膵がん細胞を用いて定量的に評価した。ナノカプセルとiRGDペプチドの間に、Gly-Gly-Serのフレキシブルなリンカーを遺伝子レベルで組み込むことを検討した結果、やはりリンカー長の長いアンテナ分子が効果的にその受容体と結合できることが分かった。まだ阻害ペプチドのの添加によって、この相互作用は濃度依存的に阻害された。次に、蛍光ラベル化したiRGDナノカプセル(100μM)100μlをマウスに尾静脈から投与し、その指向性と代謝をin vivo蛍光イメージャーにより観察したところ期待どおり、がん部に集積していることが確認できた。さらに組織化学的データを詳細に検討することによって、膵がん特異的ナノカプセルの集積性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
阻害ペプチドの合成に時間を要したが、研究計画書に記載したスケジュールに復帰することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究企画書にしたがって実施する予定である
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