研究課題/領域番号 |
15H03009
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
遠藤 達郎 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40432017)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フォトニック結晶 / エピゲノム / バイオセンサー / ナノインプリントリソグラフィー |
研究実績の概要 |
当該年度は、以下の研究項目を実施した。 研究項目A:ナノインプリントリソグラフィーを用いたフォトニック結晶ナノ共振器の作製:昨年度に引き続き、より高精細のナノインプリントリソグラフィー用鋳型の作製を実施した。本研究項目では、電子線描画装置・反応性イオンエッチング装置を用いて鋳型の作製を行った。作製した鋳型は、種々のポリマー上へフォトニック結晶ナノ共振器作製に用いたところ、良好な精度で作製可能であることを確認した。加えて作製したフォトニック結晶ナノ共振器へ白色光を導入したところ、共振器内への光閉じ込め・増幅を確認することにも成功した。 研究項目B:屈折率応答性評価とエピゲノム解析用フォトニック結晶ナノ共振器の設計決定:本研究項目では、(1)フォトニック結晶ナノ共振器内へ特定波長の光閉じ込め・増幅効率の向上、(2)エピゲノム解析に適した構造の決定、をシミュレーション解析にて行った。シミュレーション解析の結果、本研究項目で設計した構造は、ナノ共振器内へ3000倍以上の光閉じ込め・増幅効果が得られることが明らかとなった。 研究項目C:フォトニック結晶ナノ共振器表面へのプローブDNA固定化とハイブリダイゼーション検出:本研究項目では、作製したフォトニック結晶ナノ共振器表面へプローブDNAを固定化した後、DNAハイブリダイゼーションの検出・定量を実施した。作製したフォトニック結晶ナノ共振器は、プローブDNA固定化やハイブリダイゼーション等によって誘起される周辺屈折率変化に対して鋭敏に光学特性変化を示し、高感度にハイブリダイゼーションを検出可能であることを明らかにした。また、作製したフォトニック結晶ナノ共振器は、pmol/lオーダーの濃度域において高感度にハイブリダイゼーションの検出が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度では、計画していた研究項目を推進し、ポリマーという低い屈折率を有する基材を用いていながら、可視領域内の特定波長のみを閉じ込め・増幅させることに成功した。この可視領域の光閉じ込め・増幅効果は、金属酸化物など高屈折率材料を用いた場合においてのみ報告されていたが、ポリマーを用いて実現したものは初めてである。加えて、作製したフォトニック結晶が、高い光閉じ込め・増幅効率を有するということを明らかにしたことも顕著な成果であると言える。 また、作製したフォトニック結晶ナノ共振器を用いてDNAハイブリダイゼーションの検出を行った結果、高感度に検出・定量することにも成功した。 以上の理由から、現在までの進捗状況は当初の計画以上に進展していると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の研究項目を推進し、エピゲノム解析への有用性を明らかにする。 (1)メチル化DNAの検出・定量 (2)培養細胞中DNAのメチル化検出 なお推進に当たっては、神経変性疾患に寄与することが報告されているエピゲノム解析を実施し、本研究で開発するデバイスの有用性を明らかにすることとする。
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