研究課題/領域番号 |
15H03011
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
片野坂 公明 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (50335006)
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研究分担者 |
水村 和枝 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00109349)
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60432639)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 一次知覚神経 / 侵害受容器 / 伸長受容器 / メカノセンサー / 筋肉痛 |
研究実績の概要 |
本研究は、筋組織・筋感覚神経でのメカニカルストレスの感知機構、およびそれらの機械応答における筋-神経間のクロストークを明らかにすることを目的として実施する。そのためにまず、①,骨格筋の伸縮や痛み刺激を感知する筋感覚神経を標識して培養し、機械刺激に対する細胞応答を調べる。また、②,メカノセンサー分子の感覚神経・筋・特異的欠損マウスを用いて、筋感覚神経応答へのメカノセンサーの寄与を明らかにする。さらに、③,筋運動や筋損傷が、筋や筋感覚神経の機械応答に及ぼす影響を調べる。平成27年度は、①と③の実験を実施した。 ①、筋侵害受容器および筋紡錘・腱器官伸長受容器ニューロンの標識を実施し、初代培養での識別を試みた。ペントバルビツール麻酔下のマウスの後肢の筋に蛍光色素DiI溶液を注入し、逆行性に染色された脊髄神経節細胞を観察した。これまでのところ、標識される神経細胞の数が少なく、実験間で安定した結果が得られていない。現在も引き続き、色素の投与方法・投与部位等の検討を行っている。また、筋感覚神経の終末側においても、免疫組織染色により発現分子を解析するため、麻酔下マウスの座骨神経を露出し、蛍光色素の注入、DiI結晶の留置により末梢神経の順行性標識を試みたが、明瞭な終末染色像は得られていない。今後、より順行性標識に適した手法を検討していく。 ③、繰り返し運動による筋肉痛耐性のメカニズムの解明のため、筋細胞膜タンパク質のプロテオーム解析を開始した。筋痛を生じやすい伸長性収縮運動の前後で、筋細胞膜を精製し、1次元の電気泳動とウエスタンブロッティングによる発現タンパク質の比較解析を行った。サンプル数が少なく予備的な結果ではあるが、運動5日後の筋において、筋細胞特異的な複数の膜タンパク質発現に増加傾向が観察された。これらのタンパク質において、さらに厳密な比較解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた研究計画よりも遅れている。今年度より雇用予定であった研究補佐員の雇用開始が諸事情により約半年遅れ、研究遂行に必要な人材確保が計画通りに進まなかったこと、また、使用を予定していた遺伝子改変マウスについて、その供給元で動物飼育施設の改修があり、動物の供給が行えなかったことが要因である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、本研究に携わる研究補助員および連携研究員として大学院生1名を確保しており,すでに研究に着手している。昨年度に引き続き、筋感覚神経の蛍光標識のための色素の投与方法、投与部位等の検討を最優先で早急に実施する。またこれと並行して、感覚神経の培養細胞での機械応答記録の実験を開始し、十分な細胞標識が得られれば、即刻機械応答記録が可能なように準備を進める。
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