研究課題/領域番号 |
15H03016
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
謝 国強 東北大学, 金属材料研究所, 特任准教授 (50422134)
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研究分担者 |
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50292222)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 金属ガラス / ポーラス材料 / 放電プラズマ焼結法 / 生体・医療材料 / 微細構造 / 強度 / ヤング率 / 気孔率 |
研究実績の概要 |
さまざまな組成の金属ガラスにおいて、生体安全性とイオン毒性の観点から、NiおよびBeを含有しないTi基(Ti-Zr-Cu-Pd-Sn)の金属ガラス合金(銅鋳型鋳造法で直径10 mmのバルク材ができる)に着目し、Arガスアトマイズ法で金属ガラス粉末を作製した。Ti-Zr-Cu-Pd-Sn合金において、出湯時溶解温度:1506 K,噴霧ガス圧:5.0 MPaの条件で、金属ガラス粉末の作製に成功した。作製したTi基金属ガラス粉末を用いて、放電プラズマ焼結法(SPS)により焼結した。放電プラズマ焼結の焼結温度はガラス遷移温度(Tg)の近傍での焼結体には、ガラス相を保持されており、結晶化することが認められなかった。焼結温度:643 K, 加圧力:600 MPa, 保持時間: 10 minの条件での単一なTi基金属ガラス粉末のSPS焼結体は、2060 MPaの超高強度の緻密なTi-Zr-Cu-Pd-Sn金属ガラスSPS材ができた。この条件で、Ti基金属ガラス粉末とNaCl粉末の混合粉末を焼結し、温水中でNaClを溶出後、ポーラス金属ガラスになった。走査型電子顕微鏡観察ではTi基ガラス粉末粒子間界面にネックの形成が認められ、ポアが試料中に均一に分布した。X線回折で解析した結果により、NaClを溶出した後のポーラス試料中に結晶質相は検出されなかった。試料の気孔率はNaClの添加量によって制御することができ、気孔率を増大させることで、ポーラスTi基金属ガラスのヤング率を減少させることができた。気孔率約30~50%のTi-Zr-Cu-Pd-Sn金属ガラスSPS材のヤング率は、人体骨と同じであることが示した。電気化学法でハンクス液における耐腐食性検討した結果、新しく開発したポーラスTi基金属ガラスの耐腐食性は、純Tiよりも良いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、(1) Ti基金属ガラス粉末の作製プロセスの確立、(2) Ti基金属ガラス粉末の固化成形条件の確立と多孔質Ti基金属ガラスの作製、(3) 作製した多孔質Ti基金属ガラスの組織観察と性能評価を行うことを当初計画としていた。平成27年度では、この三項目に関する研究を全て実施した。さらに、生体環境における性能評価および細胞実験に関する試料の準備にも着手できたので、当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究計画では、(1) 低ヤング率・高強度多孔質金属ガラスの最適プロセスの探索、(2) 生体環境における性能評価、(3) 細胞実験における性能評価、(4) 動物試験用試料の作製およびその性能評価を行う予定である。今後の研究の推進について、当初の研究計画・方法に従って遂行する。
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