研究課題
磁気共鳴画像診断法(MRI)は放射線被爆を伴わない非侵襲の画像診断法であり、頭蓋部、特に脳底の病変の診断には不可欠である。しかし,磁気に反応する高磁性体の金属が体内に存在するとMRI画像に歪みや欠損などのアーチファクトが生じる。本研究の目的は、MRIアーチファクトへを低減できる金属材料を開発することである。Zr-14Nb-8Ta-1Mo,Zr-14Nb-9Ta-1Moとなるように各純金属を秤量し溶解してボタンインゴットを作製した。ボタンインゴットの組成を蛍光X線分析(XRF)で確認後,アルゴンアーク溶解遠心鋳造機で鋳造材を作製した。合金評価のために自由共振式弾性率測定装置によるヤング率測定,磁気天秤による質量磁化率測定,X線回折(XRD)による相の同定,光学顕微鏡(OM)による組織観察,ビッカース硬さ試験,引張試験を行った。XRDによる相の同定,OMによる組織観察,ビッカース硬さ試験は鋳造材で行った。8Ta合金と9Ta合金の組織は,母相であるβ相の結晶粒内にα相とω相が存在し,α相は針状の形態を呈することがわかった。ビッカース硬さの平均値は8Ta合金が217 HV,9Ta合金が217 HVだった。Ta量を変えても硬さに変化は見られ,これらの値は10Ta合金(218 HV)と同等である。8Ta合金と9Ta合金の質量磁化率,ヤング率は5Ta合金に比べわずかに減少しており,10Ta合金と同等の低い値を示した。8~10 mass%Taでほとんど差異がなかったのはTaのα相寄与度が低いため,相の構成にほとんど変化がなかったためだと考えられる。8Ta合金と9Ta合金の質量磁化率,ヤング率は5Ta合金に比べわずかに減少しており,10Ta合金と同等の低い値を示すことが明らかになった。また,ビッカース硬さも10Ta合金と同等の値を示すことを確認できた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Metals
巻: 8 ページ: 454~454
10.3390/met8060454
http://www.tmd.ac.jp/i-mde/www/metal/metal-j.html